
Kalraの怪談
第32章 三十二夜目:よもつへぐい
☆☆☆
Bが死んでから何時間か経った。俺はAと励まし合う。眠気が絶え間なく襲ってくる。食料はない。体を温める手段も限られている。それにも関わらず、さっきから体が熱くて仕方がなかった。
「おい!なんだ、あれ?」
Aが洞窟の奥を指す。ぼんやりとした目で見ると、なんで今まで気が付かなかったのか、そこに薄っすらと光が見える。俺とAはフラフラとその光を目指し歩いていた。気のせいかほんのりと心地よく温かい。
そこに現れた光景に、俺たちは目を疑った。光の先に部屋があったのだ。そこにあるのは確かに和室だった。奥には床の間もある。床の間には籐の籠があり、その中にはザクロがいくつか入っていた。
俺たちは言葉もなく目を見開いていた。夢でも見ているのか?幻覚か?
「部屋だ・・・」
Aがつぶやいた。Aも俺と同じように部屋を見ているなら、これは幻覚ではないようだ。俺たちは、その部屋に向かって歩みを進めた。
すると、床の間の右側にある襖がそっと開き、一人の和服の女性が現れた。浅葱色の着物を着た、髪の長い女だった。長い髪が邪魔で顔はよく見えない。
床の間の前まで進むと、その女はザクロの入った籠を手にとって、そしてゆっくりと俺たちの方を振り向いた。
「!!」
その、本来目があるべきところには何もなかった。ただ、真っ黒な闇がある。
その女、いや、『それ』はニッと笑って、俺たちに籠を差し出した。
久しぶりの食い物だ。俺はゴクリと喉を鳴らした。Aも同じようだった。だが、明らかにおかしいだろう。こんなものを喰っていいわけがない。俺がどうしていいか迷っている横で、空腹に耐えかねたのか、Aは差し出されたザクロを貪っていた。
そんなAを見て、『それ』は更に深い笑みをたたえているようだった。
「おい!やめろ!!おかしい」
俺は口から赤い汁を滴らせながらザクロを貪り続けるAを止めようとしたが、そんな俺をAは突き飛ばした。
俺はそのまま岩壁に頭をぶつけて、そして、そこで俺の記憶は途絶えた。
Bが死んでから何時間か経った。俺はAと励まし合う。眠気が絶え間なく襲ってくる。食料はない。体を温める手段も限られている。それにも関わらず、さっきから体が熱くて仕方がなかった。
「おい!なんだ、あれ?」
Aが洞窟の奥を指す。ぼんやりとした目で見ると、なんで今まで気が付かなかったのか、そこに薄っすらと光が見える。俺とAはフラフラとその光を目指し歩いていた。気のせいかほんのりと心地よく温かい。
そこに現れた光景に、俺たちは目を疑った。光の先に部屋があったのだ。そこにあるのは確かに和室だった。奥には床の間もある。床の間には籐の籠があり、その中にはザクロがいくつか入っていた。
俺たちは言葉もなく目を見開いていた。夢でも見ているのか?幻覚か?
「部屋だ・・・」
Aがつぶやいた。Aも俺と同じように部屋を見ているなら、これは幻覚ではないようだ。俺たちは、その部屋に向かって歩みを進めた。
すると、床の間の右側にある襖がそっと開き、一人の和服の女性が現れた。浅葱色の着物を着た、髪の長い女だった。長い髪が邪魔で顔はよく見えない。
床の間の前まで進むと、その女はザクロの入った籠を手にとって、そしてゆっくりと俺たちの方を振り向いた。
「!!」
その、本来目があるべきところには何もなかった。ただ、真っ黒な闇がある。
その女、いや、『それ』はニッと笑って、俺たちに籠を差し出した。
久しぶりの食い物だ。俺はゴクリと喉を鳴らした。Aも同じようだった。だが、明らかにおかしいだろう。こんなものを喰っていいわけがない。俺がどうしていいか迷っている横で、空腹に耐えかねたのか、Aは差し出されたザクロを貪っていた。
そんなAを見て、『それ』は更に深い笑みをたたえているようだった。
「おい!やめろ!!おかしい」
俺は口から赤い汁を滴らせながらザクロを貪り続けるAを止めようとしたが、そんな俺をAは突き飛ばした。
俺はそのまま岩壁に頭をぶつけて、そして、そこで俺の記憶は途絶えた。
