
Kalraの怪談
第32章 三十二夜目:よもつへぐい
☆☆☆
次に俺が気づいたのはすでに病院だった。白い天井がぼんやり見えた。そこまで気がまわり、やっと『ああ助かったんだ』と思った。
Bは?・・・そうか、あいつは死んでしまったんだ。
Aは?・・そう、Aはどうした。
俺は体を起こし、周囲を見回した。しかし、病室には自分ひとりだった。
まさか・・・
「あ、目を覚ましたんですね!先生!」
看護師さんが俺が目を覚ましたことに気がついた。
ここからは、俺が医師や警察から聞いた話だ。
結論から言うと、AもBと同様、死んでいた。
俺たちが遭難してから4日目、やっと吹雪が収まり、捜索隊が山に入れた。俺たちはその捜索隊に幸運にも、その日中に発見されたのだった。しかし、俺以外の二人は発見時にはすでに事切れており、俺だけがかろうじて助かった、ということだった。俺は、極度の疲れと空腹で弱っていたが、凍傷を含めた目立った外傷はなかったそうだ。
そうか、Aも死んでしまったか・・・
「意識を取り戻したようですね」
医師がそこまで話したところで、警察官が俺の病室に来た。事情を聞きに来たのだ。俺はあの不思議な部屋の事以外、全て話した。そしてその代わり、俺はAとBの最期の様子を聞くことにした。
「Bくんは凍死でした。おそらく体力の差でしょう。君たちが遭難して二日目には亡くなっていました。そして、Aくんの死因は・・・餓死でした」
「普通、人間が餓死をするにはもう少し時間がかかるので、おかしいとは思われたのですが、所見は餓死。よほど腹が減っていたのでしょう。その・・・」
警察官は口を濁す。
「・・・Aくんは、Bくんの体を食べた形跡がありました。」
次に俺が気づいたのはすでに病院だった。白い天井がぼんやり見えた。そこまで気がまわり、やっと『ああ助かったんだ』と思った。
Bは?・・・そうか、あいつは死んでしまったんだ。
Aは?・・そう、Aはどうした。
俺は体を起こし、周囲を見回した。しかし、病室には自分ひとりだった。
まさか・・・
「あ、目を覚ましたんですね!先生!」
看護師さんが俺が目を覚ましたことに気がついた。
ここからは、俺が医師や警察から聞いた話だ。
結論から言うと、AもBと同様、死んでいた。
俺たちが遭難してから4日目、やっと吹雪が収まり、捜索隊が山に入れた。俺たちはその捜索隊に幸運にも、その日中に発見されたのだった。しかし、俺以外の二人は発見時にはすでに事切れており、俺だけがかろうじて助かった、ということだった。俺は、極度の疲れと空腹で弱っていたが、凍傷を含めた目立った外傷はなかったそうだ。
そうか、Aも死んでしまったか・・・
「意識を取り戻したようですね」
医師がそこまで話したところで、警察官が俺の病室に来た。事情を聞きに来たのだ。俺はあの不思議な部屋の事以外、全て話した。そしてその代わり、俺はAとBの最期の様子を聞くことにした。
「Bくんは凍死でした。おそらく体力の差でしょう。君たちが遭難して二日目には亡くなっていました。そして、Aくんの死因は・・・餓死でした」
「普通、人間が餓死をするにはもう少し時間がかかるので、おかしいとは思われたのですが、所見は餓死。よほど腹が減っていたのでしょう。その・・・」
警察官は口を濁す。
「・・・Aくんは、Bくんの体を食べた形跡がありました。」
