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Kalraの怪談

第34章 三十四夜目:現代風の呪い

最後のFの死は他の二人とは違っていた。
Fの父親はPTAの役員を積極的に務めるなど、非常に学校に協力的だったようだ。教育委員会の調査でF達に有利な判断が出たのも、この父親の働きが無関係ではなかったらしい。実際、噂では、いじめていたという3人の中で最も中心的な役割を果たしていたのはFだったにも関わらずだ。

Fの父親は賢い男だったようで、Twitterの投稿が消せない可能性があることにも気づいていた。そこで、息子を親戚筋に養子に出し、改名までさせた。こうして、Fは全くの別人として東北の片田舎H県の中学校に転校することになったのだ。

「名前も変えてしまったからな。例のTwitterの投稿が広まるってこともなかったらしい。」

実際、Fは引っ越しをしてから2年間というもの特に問題なく学校に通っていた。ところが、そんなある日、Fが高校1年に進学したときのことだった、ネットのニュースで、Mの自殺が都市伝説のひとつとして取り上げられた。

「人名こそ伏せ字にしていたが、『Twitterの呪い』ということで記事が出ていたんだ。どこでどう調査したのか、RやGが死んだこともほとんどそのまま記載されいてたんだ。そして、最後の一人はまだ生きているが、消息不明ーと記事は結ばれていた。」

その記事のコメント欄にFが投稿をしたのが確認されている。

『公的な教育委員会の調査では、いじめの事実はなかったということ。
 Mの完全なる逆恨み。RやGは被害者。むしろ、Mの父親のほうが問題だったという噂』

あくまで第三者という風は装っているが、それは間違いなくFの投稿だった。なぜなら、教育委員会の調査の結果については、当時、全校の保護者会で発表されていたが、Mの父親が学校に執拗に申し出をしたなどの事実は伏せられており、少数の関係者しか知らないことだったからだ。

「Fはこの投稿の2週間後に、下校途中に何者かに襲われ、腹を刺されて死んだんだ。まるで、ネットに潜んでいた呪いに『発見』されてしまった、とでも言うかのようにな」

地元警察は当然捜査をしたが、夕方の田舎道での犯行で、目撃者もなく、犯人を特定するに至らなかったそうだ。

「時期も死に方もバラバラ。多分ここで、Yが死ななければ、一生この3つの事件はつながることがないままだったろうな。だが、Yの死によって、急転直下、一気に繋がりが見えてきたんだ」

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