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Kalraの怪談

第39章 三十九夜目:ゴーストアプリ

☆☆☆
ある日、L子は帰りがけ、T子に呼び止められた。
L子に、一緒にN神社まで行ってほしいというのだ。

N神社とは、学校からだと、電車で30分くらい離れたところにある小高い山の中腹にある寂れた神社だそうだ。後でわかったことだが、T子の家はN神社の直ぐそばだそうだ。

どうして?と聞くと、しばらくT子は言いにくそうにしていたが、ついに、例のアプリからの指示なのだと明かした。

T子が言うには、アプリをインストールしてしばらくはなんにも反応がなかったのだが、ある時、T子が部屋にいるとき、唐突にメッセージが届いた。
それは一言
「ちち」
とだけだった。

「ちち?」L子は尋ねた。

「実は、私のお父さん、私が3歳のときに登山に行ったきり、行方不明なんだ。お母さんはもう死んでしまった、というのだけど・・・。」
それで、T子はこのメッセージは「父」で、自分の父親からのものかもしれないと思ったそうだ。

T子は半信半疑で、
「お父さん?」
と打ってみた。
すると、
「ちち」
とまた、返信があった。
「どこにいるの?」とT子が尋ねると、
しばらくして
「あな」
と返信があった。
また、しばらくして、
「くらい」
と、更にメッセージが届いた。
それから、断続的にメッセージが届くようになった。メッセージの大半は
「ああ」
とか
「いかない」
とか
「やま」
のような断片的であまり意味のない単語だったが、まれにいくつかの単語が連続して送られてきて、意味が読み取れそうになることがあるそうだ。

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