
Kalraの怪談
第40章 四十夜目:死者の手稿
☆☆☆
その古書店では、客からの求めに応じて出張買取もしていた。よくあるのが、本の蒐集家である家人が亡くなり、遺族が遺品の整理のために古書店に話を持ち込むというものだ。この日、近所でも資産家で知られるK家から、祖父が亡くなったので遺品の蔵書を買い取ってほしいとの依頼を受けて買い取りに訪れていた。
亡くなった祖父はいろんなことに興味がある人だったようで、文学小説から博物学図鑑、航空工学の本や民俗学、植物学など様々な分野の本が良く整理された状態で保存されていた。特に文学や民俗学関係の書物は初版物も多く、ざっと見ただけでもなかなかの掘り出し物もあるように見受けられた。
「この部屋にあるのは全て祖父のものです。値がつかない物も処分してしまって構いません。」
今の主なのだろうか、若い男性は素っ気なく言った。若い人にとってはあまり興味のあるものでもないのだろう。これだから古書店業界も先細りなのだ・・・、そんなことを思いつつ、Cさんは査定を始めた。
査定自体は2時間ほどで終了した。買取金額を主に伝えると、意外に高値で売れたと思ってくれたようでやっと笑顔が溢れた。
「ところで・・・」
Cさんは査定の途中で見つけた一冊の革の手帳を男性に示した。
「こちらが古書の間に挟まっていました。おそらくお祖父様のものだと思うのですが?」
男性はパラパラと手帳をめくると首を傾げる。
「祖父の字ではないと思います。内容も・・・一体誰のだろう?」
不要なので一緒に処分してほしい、と言われ、値の付かない本とともに持ち帰ることになった。
その古書店では、客からの求めに応じて出張買取もしていた。よくあるのが、本の蒐集家である家人が亡くなり、遺族が遺品の整理のために古書店に話を持ち込むというものだ。この日、近所でも資産家で知られるK家から、祖父が亡くなったので遺品の蔵書を買い取ってほしいとの依頼を受けて買い取りに訪れていた。
亡くなった祖父はいろんなことに興味がある人だったようで、文学小説から博物学図鑑、航空工学の本や民俗学、植物学など様々な分野の本が良く整理された状態で保存されていた。特に文学や民俗学関係の書物は初版物も多く、ざっと見ただけでもなかなかの掘り出し物もあるように見受けられた。
「この部屋にあるのは全て祖父のものです。値がつかない物も処分してしまって構いません。」
今の主なのだろうか、若い男性は素っ気なく言った。若い人にとってはあまり興味のあるものでもないのだろう。これだから古書店業界も先細りなのだ・・・、そんなことを思いつつ、Cさんは査定を始めた。
査定自体は2時間ほどで終了した。買取金額を主に伝えると、意外に高値で売れたと思ってくれたようでやっと笑顔が溢れた。
「ところで・・・」
Cさんは査定の途中で見つけた一冊の革の手帳を男性に示した。
「こちらが古書の間に挟まっていました。おそらくお祖父様のものだと思うのですが?」
男性はパラパラと手帳をめくると首を傾げる。
「祖父の字ではないと思います。内容も・・・一体誰のだろう?」
不要なので一緒に処分してほしい、と言われ、値の付かない本とともに持ち帰ることになった。
