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Kalraの怪談

第40章 四十夜目:死者の手稿

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昭和54年2月22日 N県S郡S村 S森にて
今日は、S森で夜を明かそうと思う。夏祭りの時の若い衆も夕刻から森に入っている。
アカネガミ=茜神?黄昏の意味か?
森の中心近くに使われていない猟師小屋があるのは分かっているので、そこを拝借することとする。

19時25分 小屋につく。缶詰にて簡単な夕食。
22時30分 小屋の周囲で物音。フクロウか、イタチか?
24時    特に変わりはない。就寝。
6時     起床。特に変化はない。森で一夜を過ごすのは良い経験だった。
       缶詰にて簡単な朝食
7時30分  森の様子が変わっている。妙なことに帰り道がわからない。
       一度来た道なのに辿れない。
9時     とにかく、進むことを決める。西を目指せば森を抜けることはできる。
11時    アカネガミに会う。いや、会った?赤い目の山猫のような姿だが、体高が1m近くある。すぐに逃げてしまう。(このページにRさんが描いた山猫の絵がある)
13時28分 やっと森を抜けられた。一応確認するが、S村で間違いない。時間のズレもない。ちゃんと帰ってこられている。
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昭和54年3月2日 自宅にて
最近、そう、アカネガミに会ってからか?家人の様子がおかしい。
私が話しても返事をしないことが増えている。大きな声を出すと返事をするが、どこかぼーっとしている。Mからは家の中で「おじさん誰?」と聞かれた。
悪い冗談のようだ。

昭和54年3月9日 自宅にて
理解し始めた。Y.Dさんが言っていた「生きながら死ぬ」とはこういうことか。
複数人数で森に入った若者が一人だけ帰ってきた、それでも、「誰も行方不明ではない」とはこういうことか。
もう、この家にはいられない。
アカネガミの祟りということか?
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昭和54年3月10日 自宅にて
兄さんに別れを告げた。兄さんはキョトンとしている。
S森の伝承に関わったのがよくなかった。アカネガミの祟りは解けるだろうか?
もう一度S森に行くしかない。

K.RはK家の次男であり、確かに昭和22年5月13日に生まれ、株式会社○○に勤めている。ここにこれを記す。
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