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Kalraの怪談

第42章 四十二夜目:黒い人

危ぶまれていたのですが、2学期になっても姉は学校に行き続けました。
母も祖母も本当にこれで一安心、と思ったに違いありません。それからは特に問題もなく日は過ぎ去り、早や半年が経とうとしていました。

実はその間も、変化がないわけではなかったです。あとから考えればあれは予兆だったのでしょうが、先ほど言った『ちょっとした違和感』は続いていましたし、何より、姉はよく食べるようになりました。

私は小さい頃からよく食べる子で、前は姉の2倍近く食べていましたが、その私にも負けないくらい、いや、私以上に食べるようになったのです。
そして、あんなに人一倍食べているにも関わらず、ものすごく痩せていったのです。

そんなある日。とうとう、あの出来事が起こりました。

私が小学校4年に上がり、梅雨に差し掛かった頃。ジトジトと雨の降っていたのを覚えています。私が学校から帰ると、姉の靴がすでに玄関にありました。

中学生の姉は、いつもなら私よりずっと後に帰ってくるので、おかしいなと思いました。中間テストだろうか?と思いましたが、それはちょっと前に終わったはずです。
『具合が悪くて早退したのだろうか?』
奇妙に思いながら、三和土を上がりました。

家の中はしんと静まり返っています。父は仕事に出ているのですが、母もいないのだろうかと訝しく思いました。

見回している内に、客間から物音がするのに気づきました。ガタっとか、クチャとかそんな音だったと思います。
私は恐る恐る客間の襖を開いてみました。

そこにいたのは姉でした。

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