
Kalraの怪談
第46章 四十六夜目:呼ぶ子
☆☆☆
一つ目はこんな話だった。
祖父の小さい頃だから、大正時代か。村で一番泳ぎが達者だったDという子が、仲間3人と連れ立って呼ぶ子沢に釣りに行った。呼ぶ子沢は人が寄り付かなかったから、魚もスれていなくてよく釣れる。呼ぶ子沢に近づくなときつく言われていても、悪ガキ共はそれをよく知っていたのだ。
その日も何匹も何匹も魚が釣れて、皆で喜んでいた。
仲間の一人が濡れた岩に足を滑らして、沢に落ちてしまった。ちょうどそこは深みで、溺れそうになる。Dは急いで飛び込み、落ちた子を岩に押し上げ、自分も岸に戻ろうとした。しかし、不意にざぶんと沈んでしまった。
仲間が何度もDの名を呼ぶが、Dはとうとう顔を出すことがなかった。
悪ガキ共は慌てて大人たちを呼びに行き、皆で探したが、ついにDは浮かび上がることもなく、生死もわからない。Dの母親は呼ぶ子沢でたいそう嘆き悲しんで、村の者も見るに耐えなかった。
その後、村では、Dと一緒に行った仲間たちが次々と井戸に落ちたり、川で足を取られたりと水に関係する事故で死んでいった。
ああ、Dは呼ぶ子になった、呼ぶ子が出た、と村の婆さんは祖父に言ったという。
一つ目はこんな話だった。
祖父の小さい頃だから、大正時代か。村で一番泳ぎが達者だったDという子が、仲間3人と連れ立って呼ぶ子沢に釣りに行った。呼ぶ子沢は人が寄り付かなかったから、魚もスれていなくてよく釣れる。呼ぶ子沢に近づくなときつく言われていても、悪ガキ共はそれをよく知っていたのだ。
その日も何匹も何匹も魚が釣れて、皆で喜んでいた。
仲間の一人が濡れた岩に足を滑らして、沢に落ちてしまった。ちょうどそこは深みで、溺れそうになる。Dは急いで飛び込み、落ちた子を岩に押し上げ、自分も岸に戻ろうとした。しかし、不意にざぶんと沈んでしまった。
仲間が何度もDの名を呼ぶが、Dはとうとう顔を出すことがなかった。
悪ガキ共は慌てて大人たちを呼びに行き、皆で探したが、ついにDは浮かび上がることもなく、生死もわからない。Dの母親は呼ぶ子沢でたいそう嘆き悲しんで、村の者も見るに耐えなかった。
その後、村では、Dと一緒に行った仲間たちが次々と井戸に落ちたり、川で足を取られたりと水に関係する事故で死んでいった。
ああ、Dは呼ぶ子になった、呼ぶ子が出た、と村の婆さんは祖父に言ったという。
