
Kalraの怪談
第46章 四十六夜目:呼ぶ子
☆☆☆
二つ目は、T先生の若い頃なので、ほんの2〜30年ほど前だ。S子という女児がやっぱり呼ぶ子沢で行方不明になった。
「私は、祖父の話を聞いて、呼ぶ子というものに強く惹かれていた。なので、本も書いていた。見れるものならばと思っていたら、本当に見ることになるとは思わなんだよ」
そうT先生は笑った。
事の次第はこうだった。S子はK子、R子とよく一緒に遊んでいた。K子は村でも金持ちで大きな家の子だった。比べてS子やR子は村の小さな食堂や寂れた民宿の子だった。
K子は生まれもいいが、顔も良かった。ただ、小さい頃は随分やんちゃで、男の子顔負けの気の強い子だった。木登りや沢下り、虫取りなんかも大好きだった。
小学校5年生の夏休みも近くなったある日、K子はR子とS子に、呼ぶ子沢に行こうと提案した。提案というより、強要に近かったかもしれない。二人は渋々それに従った。
決行日は夏休みの初日だった。
普段、行ってはいけない、と言われているところに子どもだけで行くのは秘密の冒険じみてて、K子はワクワクしていた。他の二人は最初こそおっかなびっくりだったが、森に入り、沢に向かって降りていく道が程々に険しく、木に掴まったり、時には蔦をロープ代わりにして降りたりなどが必要だったりしていたため、次第に夢中になっていった。
沢に降りると、もちろん人がおらず、静かだった。流れが急だと聞いていたが、どちらかというと、淵のようで、鏡のような深い青色の水面がたゆたい、どこか神秘的だった。
「きれい・・・」
R子がつぶやいた。K子たちは服を脱ぎ、水着に着替えた。K子とR子は泳ぎが得意だったし、S子も普通には泳げた。なので、「深い」と言われてもそれほど気にならなかったし、3人とも、何よりこの美しい淵で泳いでみたい、という思いが強かった。
足を浸してみると、淵の水は程よく冷たく、その日が暑かったこともあり、気持ちが良かった。3人は次々に淵に飛び込む。
二つ目は、T先生の若い頃なので、ほんの2〜30年ほど前だ。S子という女児がやっぱり呼ぶ子沢で行方不明になった。
「私は、祖父の話を聞いて、呼ぶ子というものに強く惹かれていた。なので、本も書いていた。見れるものならばと思っていたら、本当に見ることになるとは思わなんだよ」
そうT先生は笑った。
事の次第はこうだった。S子はK子、R子とよく一緒に遊んでいた。K子は村でも金持ちで大きな家の子だった。比べてS子やR子は村の小さな食堂や寂れた民宿の子だった。
K子は生まれもいいが、顔も良かった。ただ、小さい頃は随分やんちゃで、男の子顔負けの気の強い子だった。木登りや沢下り、虫取りなんかも大好きだった。
小学校5年生の夏休みも近くなったある日、K子はR子とS子に、呼ぶ子沢に行こうと提案した。提案というより、強要に近かったかもしれない。二人は渋々それに従った。
決行日は夏休みの初日だった。
普段、行ってはいけない、と言われているところに子どもだけで行くのは秘密の冒険じみてて、K子はワクワクしていた。他の二人は最初こそおっかなびっくりだったが、森に入り、沢に向かって降りていく道が程々に険しく、木に掴まったり、時には蔦をロープ代わりにして降りたりなどが必要だったりしていたため、次第に夢中になっていった。
沢に降りると、もちろん人がおらず、静かだった。流れが急だと聞いていたが、どちらかというと、淵のようで、鏡のような深い青色の水面がたゆたい、どこか神秘的だった。
「きれい・・・」
R子がつぶやいた。K子たちは服を脱ぎ、水着に着替えた。K子とR子は泳ぎが得意だったし、S子も普通には泳げた。なので、「深い」と言われてもそれほど気にならなかったし、3人とも、何よりこの美しい淵で泳いでみたい、という思いが強かった。
足を浸してみると、淵の水は程よく冷たく、その日が暑かったこともあり、気持ちが良かった。3人は次々に淵に飛び込む。
