
Kalraの怪談
第47章 四十七夜目:みえないこども
【みえないこども】
私の中学校の時の同級生A子から聞いた話です。
A子は東京のS区に住んでいます。S区は公営住宅が多く、東京の中でも低収入家庭や母子家庭が多い地域を抱えています。A子自身は夫と共働きで、子供が2人、特にお金に困っていなかったのですが、互いの職場からの距離などを考えて、ここで暮らしていました。
A子の下の子どもが小学校に上がった年、近所のアパートにL子が引っ越してきました。東京とは言え、近所付き合いは少しはあって、噂話にL子は母子家庭らしいなどという話が聞こえてきました。当のL子は、黒っぽいブラウスと焦げ茶のスカートと、同じ服ばかりを着ている印象で、肩くらいまで伸ばしている髪の毛もよく手入れがなされおらず、なんとなく生活に疲れているように見えました。
A子とL子はほとんど接触がなかったのですが、何かのきっかけで話すことがありました。話を聞いてみると、自分より10も歳上だと思っていたL子が、実は自分と同じ歳で、確かに母子家庭であり、都内の中小企業の経理をやりながら、2歳になる娘を一人で育てていることなどがわかりました。そうなると同じ子育てをする母親同士、会えば『2歳になる娘が最近言うことを聞かなくて困っている』『うちもそうだったよー』などと、互いの子育ての悩みを話すことが多くなりました。A子と話すようになってから、L子はちょっと明るくなったようでした。
私の中学校の時の同級生A子から聞いた話です。
A子は東京のS区に住んでいます。S区は公営住宅が多く、東京の中でも低収入家庭や母子家庭が多い地域を抱えています。A子自身は夫と共働きで、子供が2人、特にお金に困っていなかったのですが、互いの職場からの距離などを考えて、ここで暮らしていました。
A子の下の子どもが小学校に上がった年、近所のアパートにL子が引っ越してきました。東京とは言え、近所付き合いは少しはあって、噂話にL子は母子家庭らしいなどという話が聞こえてきました。当のL子は、黒っぽいブラウスと焦げ茶のスカートと、同じ服ばかりを着ている印象で、肩くらいまで伸ばしている髪の毛もよく手入れがなされおらず、なんとなく生活に疲れているように見えました。
A子とL子はほとんど接触がなかったのですが、何かのきっかけで話すことがありました。話を聞いてみると、自分より10も歳上だと思っていたL子が、実は自分と同じ歳で、確かに母子家庭であり、都内の中小企業の経理をやりながら、2歳になる娘を一人で育てていることなどがわかりました。そうなると同じ子育てをする母親同士、会えば『2歳になる娘が最近言うことを聞かなくて困っている』『うちもそうだったよー』などと、互いの子育ての悩みを話すことが多くなりました。A子と話すようになってから、L子はちょっと明るくなったようでした。
