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Kalraの怪談

第48章 四十八夜目:サワギリさん

 私もなんとかAを元気づけようとしました。子供なりに知恵を絞ったのです。そして、ひとつひらめいたことがありました。

 「そうだ!こうしたらどう?サワギリさんにお願いしてみようよ
  『サワギリさん、サワギリさん、本当の犯人が憎くないですか?』
  って。もし、これでだれかが怪我したら、ソイツが本当の犯人だし、
  だれも怪我しなかったらサワギリさんなんてウソっぱちってことになるじゃない?」

 その時は我ながら名案だと思ったのです。どっちに転んでもAがサワギリさんにお願いしたせいでR子が死んだわけではないことが証明できるからです。
 Aは曖昧にうなづいてみせました。Bは私の意図がすぐにわかったのか、「いいね!すぐやろう」といってくれました。Cはピンとこなかったようで「え?それってどういう・・・?」と戸惑っているようでした。
 結局、次の週の火曜日だったと思いますが、その日にその作戦を結構することにしたのです。私達の励ましが効いたのか、Aもその週の月曜日からは登校するようになっていました。

 お呪いを実行するのは私が引き受けました。Aの話を聞いて若干恐くはありましたが、それ以上にAに元気になってほしい気持ちが優ったのです。
 放課後、教室の真ん中の席で、予定通り

 「サワギリさん、サワギリさん、R子を殺した本当の犯人が憎くはないですか」

 ちなみに私がこれを唱えたときには、特に笑い声などは聞こえませんでした。
 私は昇降口で待っていてくれた、A、B、Cと合流し、事の次第を報告しました。そして、その日はそこで皆と別れて下校したのです。

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