
Kalraの怪談
第49章 四十九夜目:鬼の宿
☆☆☆
あれは、お母さんがこの家にお嫁に来たばかりの頃、ひいおばあさんから聞いたことだから、もうかれこれ30年近く前の話になるわね。
節分のとき、普通は「鬼は外、福は内」って豆をまくでしょう?ところが、この地方では、全部の家じゃないんだけど、「鬼は内」って唱える家があるんだって。要は、他の家で追い出された鬼をお迎えする、っていうこと。
こういう風に鬼を迎える家のことを、『鬼の宿』って言ったらしいわ。
え?どうしてそういうことをするのかって?
ひいおばあちゃんの話しだと、鬼の力で災いを取り除いたり、商売繁盛を願うって事らしいわ。ほら、鬼瓦とかってあるじゃない?結局、鬼の力で守ってもらうということ。他の家で追い出された鬼を歓待して、自分の家を守ってもらおうっていう風習みたい。
まあ、これくらいの話だったらいいんだけど、続きがあってね。ひいおばあちゃんが一度だけしてくれた話があったの。実は、この家も『鬼の宿』だったんだって。
でも、どうやら毎年毎年鬼を迎えるのではなく、どうしても困ったときだけ、お迎えするらしいんだけど、とにかく、ひいおばあちゃんが小学生くらいのとき、一度、この家の商売がうまくいかなくなった時があったみたいで、あちこちに借金が増えてしまったんだって。ひいおばあちゃんのお母さんとお父さんだから、あなたからみたら、ひいひいおじいちゃんと、ひいひいおばあちゃんね。その二人とその兄弟たちでしょっちゅう眉間にしわ寄せて何やら話し合ったようだったの。
それで、ある年の節分の日、あの離れね。あそこにひいひいおばあちゃんが籠もったんだって。それで、鬼の宿の儀式みたいなことをしたらしいの。どうやるのか、っていうのは教えてもらえなかったんだけど、どうもお膳を用意したりとか、御簾を立てたりだとか、そういったことみたい。
鬼を迎える、ということで、当時ひいおばあちゃんは怖くて仕方がなかったらしいの。
それでどうなったのかって?
次の日、その部屋でひいひいおばあちゃんが亡くなっていたんですって。腹を何かで切り裂かれて、とても見るに耐えない姿で・・・。鬼が来て、ひいひいおばあちゃんを食ったんだって。だから、毎年できないのよ。人が死ぬから。
その後、鬼の加護のせいか身代は持ち直して、今に至ると。
あれは、お母さんがこの家にお嫁に来たばかりの頃、ひいおばあさんから聞いたことだから、もうかれこれ30年近く前の話になるわね。
節分のとき、普通は「鬼は外、福は内」って豆をまくでしょう?ところが、この地方では、全部の家じゃないんだけど、「鬼は内」って唱える家があるんだって。要は、他の家で追い出された鬼をお迎えする、っていうこと。
こういう風に鬼を迎える家のことを、『鬼の宿』って言ったらしいわ。
え?どうしてそういうことをするのかって?
ひいおばあちゃんの話しだと、鬼の力で災いを取り除いたり、商売繁盛を願うって事らしいわ。ほら、鬼瓦とかってあるじゃない?結局、鬼の力で守ってもらうということ。他の家で追い出された鬼を歓待して、自分の家を守ってもらおうっていう風習みたい。
まあ、これくらいの話だったらいいんだけど、続きがあってね。ひいおばあちゃんが一度だけしてくれた話があったの。実は、この家も『鬼の宿』だったんだって。
でも、どうやら毎年毎年鬼を迎えるのではなく、どうしても困ったときだけ、お迎えするらしいんだけど、とにかく、ひいおばあちゃんが小学生くらいのとき、一度、この家の商売がうまくいかなくなった時があったみたいで、あちこちに借金が増えてしまったんだって。ひいおばあちゃんのお母さんとお父さんだから、あなたからみたら、ひいひいおじいちゃんと、ひいひいおばあちゃんね。その二人とその兄弟たちでしょっちゅう眉間にしわ寄せて何やら話し合ったようだったの。
それで、ある年の節分の日、あの離れね。あそこにひいひいおばあちゃんが籠もったんだって。それで、鬼の宿の儀式みたいなことをしたらしいの。どうやるのか、っていうのは教えてもらえなかったんだけど、どうもお膳を用意したりとか、御簾を立てたりだとか、そういったことみたい。
鬼を迎える、ということで、当時ひいおばあちゃんは怖くて仕方がなかったらしいの。
それでどうなったのかって?
次の日、その部屋でひいひいおばあちゃんが亡くなっていたんですって。腹を何かで切り裂かれて、とても見るに耐えない姿で・・・。鬼が来て、ひいひいおばあちゃんを食ったんだって。だから、毎年できないのよ。人が死ぬから。
その後、鬼の加護のせいか身代は持ち直して、今に至ると。
