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Kalraの怪談

第49章 四十九夜目:鬼の宿

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結局、こんな事があったものの、A君とBさんは無事に結婚したとのことだった。ただ、A君は学者としては大成せず、大学院を早々に切り上げ、普通の企業に就職することになったようだ。
逆に、これも皮肉なものだが、Bさんは鬼の研究を進め、結果的には現在、大学で教鞭をとる身分になっているらしい。

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「ああ、そういえば、この話に出てくるひいばあさんなんだけど、そのあとは入院した病院で亡くなったそうだ。病院に搬送された時点で四肢の骨がバキバキに折れていたんだと。そりゃそうだよな。90も超えてそんな大立ち回りをしたんだから。」と、Sは言う。

この件について警察は、精神錯乱を起こした老人が包丁を振り回したとして、事件化はしなかったようだった。

ただ、本当にただの精神錯乱だったのだろうか?
S曰く「あり得ない力で包丁振り回すっていうのは、精神錯乱者にはありうることみたいだけど、ただ、Aが言っていた『獣のような臭い』やBさんが見たっていう『あり得ない顔の歪み』っていうのは気になるよな」

鬼って、人じゃないものって意味だろう?
Sはそう言って笑った。

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