
Kalraの怪談
第50章 五十夜目:悪気の縄
☆☆☆
「もう、40年くらい前になるかな。島の名前は言えねえが、ある島の警察署に刑事として配属されたことがあった。」
島の警察署は一般に署員数が少なく、また、署員のうち何人かは離島で駐在所勤務をしている。この離島の駐在所というのはひとつの島に一箇所で、警察官もその島で一人であることが多かった。
Aさんが配属されたM島の離島K島もそんな島のひとつで、島には駐在はひとつだけだった。そこには、Fさん夫妻が住み込みで勤務していた。
K島は全島民を合わせても200人足らずの小さい島だ。
「まあ、島は基本事件なんかないからな・・・。突然Fさんから110番入電があったときはびっくりしたもんさ」
ある夏の日、Fさんから署に連絡があった。村の名主の家で異様な変死体が発見されたというのだ。
それは台風が近づいている日のことだった。村の若い衆が数週間後に迫っている祭の相談のため、名主の家を訪ねたときに発見したそうだ。
発見した若者の一人が、Fさんのところに転がるように駆けてきたという。Fさんが見に行くと、名主の家の土間で3人が首をつっているのを見つけた。その3人とは、名主の妻、そして息子夫婦だった。さらに屋敷の奥を検めると、奥の居間では名主の母と名主の弟の2人が、奥座敷で名主本人が、そして離れでは隠居している名主の父がそれぞれ縊死体で見つかった。
要は、名主の家に暮らしている7人全員が死んでいたのだ。
それも、異様なことに、何処から調達したのか分からないが、全員が黒っぽい荒縄で首をつっていたそうだ。
Fさんはとりあえず現場の写真を数枚撮影し、その様子をM島警察署に報告してきた。とても駐在一人の手に負える案件ではなかったため、すぐに応援を寄越すべきだったのだが、何せ台風が近づいていたので、M島本島からK島へ駆けつけることができなかったのだ。
本署から、Fさんには、現場の写真をきちんと撮影すること、現場に無闇に島民を入れないよう指示すること、現場の状況をきちんと記録した後に、ご遺体を下ろすことなどが指示された。Fさんは村の若い衆と協力して、7人のご遺体を下ろし、名主の家の座敷に並べて安置したとのことだった。
こんなふうに、やっと現場処理が終わったのは、ご遺体を発見した次の日の朝だったという。
「もう、40年くらい前になるかな。島の名前は言えねえが、ある島の警察署に刑事として配属されたことがあった。」
島の警察署は一般に署員数が少なく、また、署員のうち何人かは離島で駐在所勤務をしている。この離島の駐在所というのはひとつの島に一箇所で、警察官もその島で一人であることが多かった。
Aさんが配属されたM島の離島K島もそんな島のひとつで、島には駐在はひとつだけだった。そこには、Fさん夫妻が住み込みで勤務していた。
K島は全島民を合わせても200人足らずの小さい島だ。
「まあ、島は基本事件なんかないからな・・・。突然Fさんから110番入電があったときはびっくりしたもんさ」
ある夏の日、Fさんから署に連絡があった。村の名主の家で異様な変死体が発見されたというのだ。
それは台風が近づいている日のことだった。村の若い衆が数週間後に迫っている祭の相談のため、名主の家を訪ねたときに発見したそうだ。
発見した若者の一人が、Fさんのところに転がるように駆けてきたという。Fさんが見に行くと、名主の家の土間で3人が首をつっているのを見つけた。その3人とは、名主の妻、そして息子夫婦だった。さらに屋敷の奥を検めると、奥の居間では名主の母と名主の弟の2人が、奥座敷で名主本人が、そして離れでは隠居している名主の父がそれぞれ縊死体で見つかった。
要は、名主の家に暮らしている7人全員が死んでいたのだ。
それも、異様なことに、何処から調達したのか分からないが、全員が黒っぽい荒縄で首をつっていたそうだ。
Fさんはとりあえず現場の写真を数枚撮影し、その様子をM島警察署に報告してきた。とても駐在一人の手に負える案件ではなかったため、すぐに応援を寄越すべきだったのだが、何せ台風が近づいていたので、M島本島からK島へ駆けつけることができなかったのだ。
本署から、Fさんには、現場の写真をきちんと撮影すること、現場に無闇に島民を入れないよう指示すること、現場の状況をきちんと記録した後に、ご遺体を下ろすことなどが指示された。Fさんは村の若い衆と協力して、7人のご遺体を下ろし、名主の家の座敷に並べて安置したとのことだった。
こんなふうに、やっと現場処理が終わったのは、ご遺体を発見した次の日の朝だったという。
