
Kalraの怪談
第50章 五十夜目:悪気の縄
☆☆☆
「本署から応援に行かれたのは、結局現場処理が終わったという報告を受けてから、さらに1日経った後だったんだ。」
本署から応援に行ったのは、鑑識や検死を担当するAさん、Aさんの上司であるB係長、それから、Aさんの後輩に当たるCくんの3人だった。
「だが、結果的には、この1日の遅れが致命的だったんだな・・・。」
Aさん達がK島に着き、Fさん夫婦が詰めている駐在所に着くと、Fさんの妻がおどおどとした様子で出迎えてくれた。妻が言うにはFさんが昨日の晩から帰ってこないという。
「それで、さらに奇妙なことを言い出すんだ。」
妻はFさんが証拠品として押収してきた縄が消えているというのだ。確かに証拠品を保管する倉庫に入れるところを見たと言うのだが、今朝確認するとその縄だけがないという。証拠品をしまっている倉庫の鍵は開いたままだったそうだ。
「俺たちはFさんを探すことにした。・・・結果的にはすぐに見つかったんだよ」
果たして、Fさんは、駐在所からほど近い、海辺の防風林にいた。
黒い縄で首をつっている状態で発見されたのだ。
そして、調べると、村のあちこちの家、木立に縊死体があった。
Fさんを入れると、縊死体は全部で6体だった。
「そう、みんな同じような黒い縄で首をつっていたんだ」
ちなみに、Aさんが検視をした結果、6体の内、最も早く亡くなったのは自宅の裏の木で死んでいたSという60代男性であり、それが昨日の昼前。その次は、Lさんという40代の女性で村の公民館のトイレで首をつっていた。どうやら、Fさん自身は一番最後、今朝方未明に亡くなったようだった。
「何が起こっているのかさっぱりわからなかったよ。一昨日の名主の家で縊死体が使っていた縄で、警察官を含む全く無関係の村人が一斉に首をつっていたんだよ」
「署の口さがないやつは、Fさんが証拠品の縄を持ち出して、村人を無差別に襲い、首吊りに見せかけて殺したんだ、なんていう奴もいたよ。もちろん、そういう可能性も考えられる。ただ、6人のご遺体は、見る限り自殺だったんだよ。」
他殺体と自殺体では、所見が違うのだとAさんはいう。
6体のご遺体は間違いなく自殺の所見だったのだそうだ。
「本署から応援に行かれたのは、結局現場処理が終わったという報告を受けてから、さらに1日経った後だったんだ。」
本署から応援に行ったのは、鑑識や検死を担当するAさん、Aさんの上司であるB係長、それから、Aさんの後輩に当たるCくんの3人だった。
「だが、結果的には、この1日の遅れが致命的だったんだな・・・。」
Aさん達がK島に着き、Fさん夫婦が詰めている駐在所に着くと、Fさんの妻がおどおどとした様子で出迎えてくれた。妻が言うにはFさんが昨日の晩から帰ってこないという。
「それで、さらに奇妙なことを言い出すんだ。」
妻はFさんが証拠品として押収してきた縄が消えているというのだ。確かに証拠品を保管する倉庫に入れるところを見たと言うのだが、今朝確認するとその縄だけがないという。証拠品をしまっている倉庫の鍵は開いたままだったそうだ。
「俺たちはFさんを探すことにした。・・・結果的にはすぐに見つかったんだよ」
果たして、Fさんは、駐在所からほど近い、海辺の防風林にいた。
黒い縄で首をつっている状態で発見されたのだ。
そして、調べると、村のあちこちの家、木立に縊死体があった。
Fさんを入れると、縊死体は全部で6体だった。
「そう、みんな同じような黒い縄で首をつっていたんだ」
ちなみに、Aさんが検視をした結果、6体の内、最も早く亡くなったのは自宅の裏の木で死んでいたSという60代男性であり、それが昨日の昼前。その次は、Lさんという40代の女性で村の公民館のトイレで首をつっていた。どうやら、Fさん自身は一番最後、今朝方未明に亡くなったようだった。
「何が起こっているのかさっぱりわからなかったよ。一昨日の名主の家で縊死体が使っていた縄で、警察官を含む全く無関係の村人が一斉に首をつっていたんだよ」
「署の口さがないやつは、Fさんが証拠品の縄を持ち出して、村人を無差別に襲い、首吊りに見せかけて殺したんだ、なんていう奴もいたよ。もちろん、そういう可能性も考えられる。ただ、6人のご遺体は、見る限り自殺だったんだよ。」
他殺体と自殺体では、所見が違うのだとAさんはいう。
6体のご遺体は間違いなく自殺の所見だったのだそうだ。
