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Kalraの怪談

第50章 五十夜目:悪気の縄

☆☆☆
結局どうなったんですか?と尋ねると、Aさんはふーっとタバコの煙を吐き出して答えてくれた。

「結局、事件は集団ヒステリーによる連鎖自殺、として片付けられた、というより、そう片付ける他なかったんだよ」

なんせな・・・、Aさんは続ける。

「聞き込みをしているときにな、村の子どものひとりが言ったんだよな。
 『黒い縄がしゅるしゅるとヘビみたいに進んでいき、家の中に消えた』って。
 その家っていうのは、Sさんの家だったんだよ」

縄はどうしたんですか?と尋ねると、Aさんは「ああ、あれな」

「あれは、B係長が灯油かけて燃やしちまったよ。」
「ただ、6本しかなかったんだ。どう探しても、あと1本なかった。」

もしかしたら、今でもK島では、黒い縄が犠牲者を探してうろついているかもな・・・。

Aさんは、ちょっと遠い目をしながら、最後にそう付け足した。

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