
Kalraの怪談
第51章 五十一夜目:やどうかい
☆☆☆
「昔、ここいらがまだ畑や田んぼばーっかだった頃な、ある娘が夕刻に畦道を歩いとったんだ。
そうしたら、歩き慣れた道のはずなのに、なんだか様子が違う。
まあ、それでも、薄暗くなっているから見当違いをしてるのかと思って、歩いとった。
ところが、いつも通る裏山に続く道と本道の分かれ道に、何ぞ知らないもう一本の道がある。いつもは二股の道が三叉になっとったちゅーことだ。
それで、その知らない道っていうのがえらい暗くて、どうにも薄ら寒くなったそうだ。ただ、怖いもの見たさでそっと近づいたんだと。その道の向こうに目を凝らすと、どうも暗い山道のようになっていて、その先に鳥居みたいなのがある。
こんなとこに神社なんかあったかいな?と思うが、どうもやはり心当たりがない。
面妖なことがあるなと思ってじっとみとると、その鳥居の向こうでごそりごそりと何か黒い影が動きよるのが見えた。
そんで、その娘っ子は恐ろしうなって、来た道を一目散に引き換えしたんだと。
あとから、村のババに聞いたら、『そりゃあ”やどうかい”じゃ』いうて、その娘っ子にはその道に入いらんで良かったと言うたっちゅうこっちゃ。
なんにせよ、夕暮れ時に一人で道を歩いているとこんな風に”やどうかい”に会うから、お前たち、明るいうちにちゃんと帰ってくるんだぞ」
「昔、ここいらがまだ畑や田んぼばーっかだった頃な、ある娘が夕刻に畦道を歩いとったんだ。
そうしたら、歩き慣れた道のはずなのに、なんだか様子が違う。
まあ、それでも、薄暗くなっているから見当違いをしてるのかと思って、歩いとった。
ところが、いつも通る裏山に続く道と本道の分かれ道に、何ぞ知らないもう一本の道がある。いつもは二股の道が三叉になっとったちゅーことだ。
それで、その知らない道っていうのがえらい暗くて、どうにも薄ら寒くなったそうだ。ただ、怖いもの見たさでそっと近づいたんだと。その道の向こうに目を凝らすと、どうも暗い山道のようになっていて、その先に鳥居みたいなのがある。
こんなとこに神社なんかあったかいな?と思うが、どうもやはり心当たりがない。
面妖なことがあるなと思ってじっとみとると、その鳥居の向こうでごそりごそりと何か黒い影が動きよるのが見えた。
そんで、その娘っ子は恐ろしうなって、来た道を一目散に引き換えしたんだと。
あとから、村のババに聞いたら、『そりゃあ”やどうかい”じゃ』いうて、その娘っ子にはその道に入いらんで良かったと言うたっちゅうこっちゃ。
なんにせよ、夕暮れ時に一人で道を歩いているとこんな風に”やどうかい”に会うから、お前たち、明るいうちにちゃんと帰ってくるんだぞ」
