
Kalraの怪談
第53章 五十三夜目:縫いの化け物
☆☆☆
私は小さい頃からたまに不思議なものが見えることがあるんです。
最初はなんだかわかりませんでした。
覚えている一番最初のものは、たぶん、小学校1年生くらいだったと思います。家の近所に住んでいた中学生くらいの悪ガキの肩から犬の頭が生え出しているのが見えたんです。
「あ、あれ・・・」
私は慌てて一緒にいた母親に訴えましたが、どうやら母親には見えていないのだということがわかりました。
その後、同じ男を見る機会が何度かあったのですが、会うたびにその奇妙な動物が増えているのです。
尻のあたりから猫の後ろ足が二本生えている。
頭の横から何かの鳥の翼が生えている。
首筋からヘビの頭がニュルリと這い出し、体を一周取り巻いている。
その男にもどうやらそれらの動物は見えていないみたいだし、触ることも出来ない様子でした。気味が悪いので、私はその男がよくいる道を通らなくなりました。
そんなある日、私の住む街で3歳くらいの男の子が行方不明になる事件があったのです。
警察や消防、町の自警団の大人などが何日も探し続けていましたが、見つかりませんでした。顔写真もテレビで何度も流され、『情報提供をお願いします』と訴えが続きました。
お父さんも、お母さんも「怖いね」「怖いわね」と言い合っていたのを覚えています。
その子がいなくなって、ひと月ぐらいたったときだと思います。私は祖母と一緒に買い物をするために歩いていました。買い物の際にはどうしても、あの男がいる道を通る必要があります。
そして、その日もその男は悪い仲間とつるんで道端でタバコをふかしていました。
見るまいと思っても、目を瞑るわけにはいかないので、どうしても目に入ってしまいます。
その男の異形は更に進んでいました。
そして、
「あ!」
なにかの拍子にこちらを向いた男の腹から小さい子供の上半身がにゅっと突き出していたのです。子どもの両の手は苦しみもがくように空中をフラフラと彷徨っています。その顔は、あの行方不明の男の子の顔でした。
私は小さい頃からたまに不思議なものが見えることがあるんです。
最初はなんだかわかりませんでした。
覚えている一番最初のものは、たぶん、小学校1年生くらいだったと思います。家の近所に住んでいた中学生くらいの悪ガキの肩から犬の頭が生え出しているのが見えたんです。
「あ、あれ・・・」
私は慌てて一緒にいた母親に訴えましたが、どうやら母親には見えていないのだということがわかりました。
その後、同じ男を見る機会が何度かあったのですが、会うたびにその奇妙な動物が増えているのです。
尻のあたりから猫の後ろ足が二本生えている。
頭の横から何かの鳥の翼が生えている。
首筋からヘビの頭がニュルリと這い出し、体を一周取り巻いている。
その男にもどうやらそれらの動物は見えていないみたいだし、触ることも出来ない様子でした。気味が悪いので、私はその男がよくいる道を通らなくなりました。
そんなある日、私の住む街で3歳くらいの男の子が行方不明になる事件があったのです。
警察や消防、町の自警団の大人などが何日も探し続けていましたが、見つかりませんでした。顔写真もテレビで何度も流され、『情報提供をお願いします』と訴えが続きました。
お父さんも、お母さんも「怖いね」「怖いわね」と言い合っていたのを覚えています。
その子がいなくなって、ひと月ぐらいたったときだと思います。私は祖母と一緒に買い物をするために歩いていました。買い物の際にはどうしても、あの男がいる道を通る必要があります。
そして、その日もその男は悪い仲間とつるんで道端でタバコをふかしていました。
見るまいと思っても、目を瞑るわけにはいかないので、どうしても目に入ってしまいます。
その男の異形は更に進んでいました。
そして、
「あ!」
なにかの拍子にこちらを向いた男の腹から小さい子供の上半身がにゅっと突き出していたのです。子どもの両の手は苦しみもがくように空中をフラフラと彷徨っています。その顔は、あの行方不明の男の子の顔でした。
