
Kalraの怪談
第53章 五十三夜目:縫いの化け物
私は知らず、祖母の手を強く握りました。それに気付いたのか、祖母は私の腕をぐいと引っ張って、手近な角を曲がらせました。そして、しゃがんで、私の目を見て言ったのです。
「お前にもあれが見えるのかい?」
『あれ』というのは、当然あの動物たちのことでしょう。
私はうなずきました。
「いいかい?ああいう輩には近づいたらいけないよ。あれは『縫いの化け物』だ。ああ、でも、あんたが見えるっていうことは、あいつに気付かれてるかもしれないね・・・。」
祖母が何を言いたいのか良くわかりませんでしたが、あの化け物には名前があることを知りました。
その夜、祖母は父や母と何か話をしているようでした。そして、最終的には、警察に何らかの連絡をしたようです。
その男が幼児殺傷事件の犯人として逮捕されたのは、その数日後のことでした。
もう少し大きくなってから祖母が教えてくれました。
「心に悪いものを抱えた人間が、動物を殺すと、その動物に取り憑かれてしまうんだ。取り憑いた動物は、自分と同じような犠牲者を求め始める。だから取り憑かれたやつは、また殺したくなるんだよ。そうすると、その殺された動物がさらに取り憑く。そうやってどんどん、どんどん、縫い合わされるように体にまとわりついていくのさ。そうやって出来上がったバケモンが『縫いの化け物』ちゅーわけだ。」
「お前が見たやつはきっと、犬やら猫やら鳥やらをたくさん殺しよったんだろう。それで縫いの化け物になっちまったんだ。最後には動物じゃ飽き足らず、人間を殺した。そして、殺された人間が縫い合わされば、今度はもっと人を殺そうとする」
「いつもはそんな化け物と縁ができんように、無視するんだが、あん時はお前さんを助けにゃならんと思ったんで、警察に捕まえてもらうことにしたんじゃよ」
私は聞いたのです。
「なんで?おばあちゃんにも見えているんだったら、早く警察に言って捕まえてもらえばいいじゃない?そうすれば・・・」
そうすれば、人が殺されないかもしれないのに・・・
「そうさな・・・。でも、野良犬や野良猫を殺しているくらいでは警察は何もしてくれんのよ。昔、一度言ったことがあったさ。手遅れにならんうちにってな。その結果がな」
おじいちゃんが、そいつに殺されてしもうたんだ。
祖母は寂しそうに言いました。
「お前にもあれが見えるのかい?」
『あれ』というのは、当然あの動物たちのことでしょう。
私はうなずきました。
「いいかい?ああいう輩には近づいたらいけないよ。あれは『縫いの化け物』だ。ああ、でも、あんたが見えるっていうことは、あいつに気付かれてるかもしれないね・・・。」
祖母が何を言いたいのか良くわかりませんでしたが、あの化け物には名前があることを知りました。
その夜、祖母は父や母と何か話をしているようでした。そして、最終的には、警察に何らかの連絡をしたようです。
その男が幼児殺傷事件の犯人として逮捕されたのは、その数日後のことでした。
もう少し大きくなってから祖母が教えてくれました。
「心に悪いものを抱えた人間が、動物を殺すと、その動物に取り憑かれてしまうんだ。取り憑いた動物は、自分と同じような犠牲者を求め始める。だから取り憑かれたやつは、また殺したくなるんだよ。そうすると、その殺された動物がさらに取り憑く。そうやってどんどん、どんどん、縫い合わされるように体にまとわりついていくのさ。そうやって出来上がったバケモンが『縫いの化け物』ちゅーわけだ。」
「お前が見たやつはきっと、犬やら猫やら鳥やらをたくさん殺しよったんだろう。それで縫いの化け物になっちまったんだ。最後には動物じゃ飽き足らず、人間を殺した。そして、殺された人間が縫い合わされば、今度はもっと人を殺そうとする」
「いつもはそんな化け物と縁ができんように、無視するんだが、あん時はお前さんを助けにゃならんと思ったんで、警察に捕まえてもらうことにしたんじゃよ」
私は聞いたのです。
「なんで?おばあちゃんにも見えているんだったら、早く警察に言って捕まえてもらえばいいじゃない?そうすれば・・・」
そうすれば、人が殺されないかもしれないのに・・・
「そうさな・・・。でも、野良犬や野良猫を殺しているくらいでは警察は何もしてくれんのよ。昔、一度言ったことがあったさ。手遅れにならんうちにってな。その結果がな」
おじいちゃんが、そいつに殺されてしもうたんだ。
祖母は寂しそうに言いました。
