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Kalraの怪談

第54章 五十四夜目:鉄箸の呪い

☆☆☆
ねえ、刑事さん。怖い話は好きかい?
取調べにも疲れただろう?これは、創作の話だと思って聞いてくれよ?

昔、関東の北部のY県での話だ。
そこにあった過疎が進みつつある町の小さな小学校。あんまり勉強できない子がいたんだな。
その子をそうだなTとしよう(ここで、Tはあえて自分と同じ名前を言った)。おっと、たまたま俺と同じ名前だけど無関係だぜ?

まあ、そのTっていう奴は先生から良く怒られたんだな。まあ、言うこと聞かないし、悪さばっかするから仕方ないんだがな。それで、Tは担任のO先生をそれはそれは恨んでいたんだよ。

なんで自分ばっかり怒られるんだってね。
まあ、馬鹿だよな。自分が悪いのにさ。

それで、どこから聞きつけてきたか、呪いの方法を知って、O先生に試すことにしたんだ。
その呪いは『鉄箸の呪い』って言って、呪物(ここで、Tは詳しい呪物の作り方を説明するが割愛)を作って、そいつを呪い殺したい相手の家の敷地に埋めて、その上から呪物ごと鉄の箸をぶっ刺す、っていう呪い方だ。

当然、Tは信じていなかったが、呪物の作り方もさっき言ったように簡単だったし、まあ、腹いせだよな。子どもだからさ。そんなわけで、O先生の家の庭に鉄の箸を刺したわけよ。

2〜3日、こっそりとTはO先生の家を見張っていたが、別に変化はない。鉄箸にも変わりはない。そんな時、夕暮れ時だったかな。オレンジの夕日に照らされて、逆光だったが、何かがO先生の家にズルズルと近づいてくるのが見えたんだ。次第にそれが白っぽいワンピースを着た女の人だとわかった。

ただ、歩き方がおかしい。

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