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Kalraの怪談

第54章 五十四夜目:鉄箸の呪い

両手をフラフラと前に突き出して、探るようにしながらずり足で歩いてる。まるで目が見えないようだ…
そう思って顔を見て、Tはびっくりした。

女の両の眼には深々と鉄串のようなもんが刺さっているんだ。涙のように血が流れているのも見えた。良く見ると、ワンピースもボロボロで、所々に血のシミがついていた。

この世のもんじゃない。

Tはとっさにそう思って身を隠した。ただ、興味はあったんだな。そっと様子は伺っていた。女はふらふらと歩きながら、O先生の家の門扉に触れると、それをぐっと掴んだんだ。

そして、にたりと笑った。
え?っとTが思う間もなく、そのまま女はスーッと消えちまったんだ。

我に返ったTは怖くなって家に飛んで帰ったんだよ。
次の日、O先生は学校に来なかった。すぐに「家で病死していることがわかった」というお知らせが来た。その後、担任が変わり、Tの怒られる頻度もずいぶん減ったんだと。

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