
Kalraの怪談
第54章 五十四夜目:鉄箸の呪い
☆☆☆
「その時さ、Hさんはものすごく思いつめた表情で俺に言ったんだよ
『なあ、Aよ。仮にほっといたら何人も人を殺すことが分かっている奴がいるが、とっ捕まえることが出来ないとして、お前ならどうする?』
ってな。」
なんと答えたんですか?と聞くと。
「俺も若かったからな。『そんな奴、ほっとけるわけないじゃないですか』って言ったよ」
それから2週間くらい経った後、Tが自宅で変死体で見つかったという連絡が入った。
その連絡が入った時、Hさんは黙って辞表を書いて、辞めていったという。
「俺はTの家に行ってみたよ。ああ、敷地の隅っこに鉄箸が刺さっていたよ。」
それと、と、Aさんは続けた。
「Tの死体だけは、他と違ったんだよな。所轄の報告書を取り寄せて見てみたんだ。そうしたらさ、」
Tの心臓に穴が空いていたのは同じだったが、同時に両の眼には鉄の箸が深々と刺さっていた、ということだった。
「その時さ、Hさんはものすごく思いつめた表情で俺に言ったんだよ
『なあ、Aよ。仮にほっといたら何人も人を殺すことが分かっている奴がいるが、とっ捕まえることが出来ないとして、お前ならどうする?』
ってな。」
なんと答えたんですか?と聞くと。
「俺も若かったからな。『そんな奴、ほっとけるわけないじゃないですか』って言ったよ」
それから2週間くらい経った後、Tが自宅で変死体で見つかったという連絡が入った。
その連絡が入った時、Hさんは黙って辞表を書いて、辞めていったという。
「俺はTの家に行ってみたよ。ああ、敷地の隅っこに鉄箸が刺さっていたよ。」
それと、と、Aさんは続けた。
「Tの死体だけは、他と違ったんだよな。所轄の報告書を取り寄せて見てみたんだ。そうしたらさ、」
Tの心臓に穴が空いていたのは同じだったが、同時に両の眼には鉄の箸が深々と刺さっていた、ということだった。
