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Kalraの怪談

第55章 五十五夜目:現身の桜〜うつしみのさくら〜


そして、楽しい時間はあっという間で、同窓会は解散となり、気の合う者同士で後は二次会、三次会にという流れになった。私はそんなにものすごく仲良い人もいないので、さて帰るかな、と思って準備をしていたが、そこで、T君に声をかけられた。

はて、私はあなたとそんなに親しかったでしたっけ?

そうは思ったが、特に予定があって早く帰ろうとしたわけでもなく、なんだか珍しい誘いだったので、乗ってみることにした。
T君は同窓会の会場からほど近い、小さいがお洒落なバーに私を連れて行ってくれた。

さすが銀行員だ。接客とかもするのだろうか?

互いに好みのカクテルを注文すると、しばらく、昔の話に花が咲いた。

そう言えば、昔とずいぶん違うじゃないか。

私がそう切り出したのがきっかけだっただろうか。T君が不思議な話をしてくれた。

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