テキストサイズ

Kalraの怪談

第58章 五十八夜目:呪いの代償

5月22日
名案だ。あいつは本のサイン会をやる。その会場に行けば蠱物を手に入れることができる。近づきさえすれば何でもいい。何でもいいんだ。

5月26日
ついにやった!偉そうにサインなんかしやがって。このサイン、そして、握手をした!これで(不明瞭な文字)。
明日、早速〇〇神社に埋めに行こう。

5月28日
こころなしかテレビに映るあいつの精彩がなくなっている。まだまだ。もっと苦しめばいい。
(以下、恨み言が1ページ以上に渡って書かれていたらしいが省略)

6月4日
まだ生きてやがる。早く、早く死ね。
これはお前が今までやってきたことだ。自分に不利な人間を全部殺してきた。俺は知ってるんだぞ。今度はお前が裁きを受ける番だ。
俺の人生を返せ。死をもって償え。
◯ーーーーーーーーーー◯
「結局、✕✕に呪いは効いたんですか?」
「ああ、偶然かもしれないが、6月下旬に✕✕はスピード違反の取締を受け、逃げようとして事故で死んだんだ」
「マジっすか・・・」

◯ーーーーーーーーーー◯
6月22日
新聞を読んだ。ざまあみろ。ざまあみろ!
やった!やってやったぞ!!
これであいつはもう俺の人生を歪めることがないんだ。俺は自由だ!
◯ーーーーーーーーーー◯

「なんか、テンション高くなってますね。本当に呪いが成功したってことっスか?」
「さあな、でも、この後、日記にはしばらくハイテンションな記述が続くんだ。おそらく書き手と✕✕はなんの面識もない。だが、彼からすれば自分の人生を捻じ曲げた張本人が死んで清々したからだろう。7月には元気になったので会社に復職するーという記述も見られ始めたんだ。ただ、」
もっと狂い始めるのはこれからだー
先輩は前置きをして先を続けた。

◯ーーーーーーーーーー◯
7月15日
あいつがこの世からいなくなったせいか、体調もよい。産業医の指示も守れている。復職ができそうだ。仕事もうまくいくに違いない。俺は無敵だ。

7月18日
昨晩、夜中に玄関の扉を叩く音がした。誰のいたずらだ?酔っぱらいでもいるのか?
安眠が妨害されたらかなわない。

7月19日
まただ。夜中にうるさい。

7月20日
また夜中に扉を叩く音。今度は戸を開けて確認したが、外には誰もいない。誰だ一体!
(この後、ほぼ毎日のように同様の記述がある。)

ストーリーメニュー

TOPTOPへ