テキストサイズ

Kalraの怪談

第58章 五十八夜目:呪いの代償


8月2日
もう、我慢の限界だ。復職も近いのに、こんなことに邪魔されたくない。
今日は一晩中戸を見張り、音が鳴ったらすぐに開けてみるつもりだ。

8月3日
何だ、あの目は?見間違いか?
いや、一応書いておこう。昨晩、午前2時ごろにやはり音がなった。すぐさま戸を開けたが、周囲に誰もいない。戸を閉めた後、郵便受けのフタが開いていて、そこから目が見えた気がした。しかも、逆さまに覗いている目だ。
見間違いに違いない。
その他は変わったことはない。

8月5日
相変わらず音が鳴る。郵便受けのフタにガムテープを貼った。
これで大丈夫。もう覗かれない。

8月7日
だめだ。ガムテープくらいじゃ、防げない。カリカリいっている。細い隙間から入ろうとしている。

8月11日
何かが家の中に入ってこようとしている。昨日、扉を開けたときに入られていないか不安。もう、扉を開けるのはやめておこう。

8月13日
あれは夜中になると動くようだ。郵便受けはふさいでいる。他?水道の蛇口から?まさか!昼は大丈夫だ。でも夜が怖い。

8月14日
カリカリ、カリカリ、一晩中音がする。なんだ、あれは?どうしたらいい?入られたら、俺もあいつと同じように・・・
◯ーーーーーーーーーー◯

「この後、日記は支離滅裂になっていく。被害者の会社に連絡をとったところ、8月10日を最後に連絡が全く取れなくなったそうだ。」
「ちょうど、『何かが入ってこようとしている』と日記に書かれている後からですね」
「そうだ」
「その後はどうなったんですか?」
「その後はだな・・・」

◯ーーーーーーーーーー◯
8月15日
だめだ。あらゆるところから入ってこようとしている。
どこからも覗いていやがる。
怖い、怖い
怖くて扉を開けられない。水道の蛇口もひねることが出来ない。
(以下、字が乱れ始める)

8月20日
そうか・・・こぶつ
◯ーーーーーーーーーー◯

ストーリーメニュー

TOPTOPへ