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Kalraの怪談

第13章 十三夜目:図書館の本

☆☆☆
話を聞き終えた頃、Aはだいぶ酔っ払っていた。僕もこのときはAの考えた怪談話だと思っていた。その時自分もかなり酔っ払っていたので、話の詳細は覚えていないが、当時読んでいたミステリー小説をAに熱心に勧めたような気がした。

Aが会社にぱったり来なくなったのは、それから五日ほどしたときだった。

風邪でも引いたかと思っていたが、ある日警察がやってきて、僕に事情を聞きたいと言ってきた。これはただ事ではない、そう思った。

警察は僕にAが死んだことを告げた。

自身の部屋の中で殴打され、顔が醜く腫れ上がった姿で発見されたという。警察は僕のアリバイを調べに来たようだが、僕はAが死んだという日は、実家の母のところにいたので問題はないとされた。
そもそも、僕にはAを殺す動機もない。

「Aさんは読書をしている最中に襲われたようで」
警察が言ったその言葉に、僕はちょっとした引っ掛かりを覚えた。
読書?

ーええ、図書館から借りてきた本のようでした。

まさか・・・。
僕は警察に、その本を見せてほしいとお願いした。
警察官は不審な顔をしながらも、署でだったら見てもいい、と言ってくれた。

そう、Aが読んでいたのは、僕が勧めた本だった。
まさかと思うが・・・

僕はその本をペラペラとめくってみた。本の中ほどに、ページが折れているところがある。そこには一文字もしくは二文字に鉛筆で線が引かれている。
こうあった

ーみ・・・つけ・・・・・た

「見つけた」

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