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Kalraの怪談

第17章 十七夜目:コインロッカー

【コインロッカー】

コインロッカーに関連する3つの怪談がある。

<飲み会帰りのOLの投稿>
あれが何だったのか、未だにわからない。

あの日、私は会社の帰りに友人たちと食事会という名の飲み会をして、結構遅くなった帰りだった。A線のB駅で私は降りるのだが、その駅は、11時を過ぎるとそんなに人がいなくなるところだった。

私は、ちょっと飲みすぎたかななどと考えながらフラフラと駅の構内を歩いていた。ちょうど、右手にコインロッカースペースがあった。別に、コインロッカーに用はないのだが、見るとはなしに見ると、人影があった。

その人影は、髪の長い女性のようだった。
コインロッカーから何か取り出しているふうでもない。奇妙なことに、その人物が、何をするわけではなく、ロッカーの方に向かって立っているように見えた。
何をしているんだろう、と思い、もう少し顔を向けてみた。その瞬間、私は背筋がゾッとする。なぜって、その人物は向こうを向いているのではなく、こっちをむいていることがわかったからだった。体の向きは明らかにこちらを向いているが、頭の向きは向こう向きなのだ。
いや、よく見ると長い髪を前に垂らしているせいで、後ろ姿のように見えていたのだった。

ゾッとした。

目の錯覚かもしれないが、その時の私は恐怖に駆られ、その場から足早に立ち去ろうとした。
そして、十分離れたとき、やめておけばよかったのだが、振り返ってその人物の方を確認してしまった。

そこで見えたのは、その女性が、コインロッカーから何かを取り出すところだった。
私の見間違えでなければ、いや、見間違えであってほしいのだけど、その取り出されているものは、ズルリ、とロッカーから引っ張り出された、人間のように見えた・・・

私は短い悲鳴を上げて、今度こそその場から走り去った。

次の日、そのロッカーの前を通ったが、全く異常なところは見られなかった。
あれは、一体、何だったのだろうか。今でもわからない。

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