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Kalraの怪談

第2章 二夜目:七不思議巡り

「一つ目は」あいつは言った。そうだ、七不思議を回るんだった。
昇降口横の階段。最初の段が普段は12段しかないのに、夜に登ると13段ある。13段目を踏むと、そのまま異次元の世界に吸い込まれて死んでしまう、という。

僕らは段を数える。
1、2、3、・・・11、12
おしまいだ。

段は12段しかない。
「なんだ・・・」
僕はホッとしたが、強がって言う。

次にいこう、とあいつはそっけなく言う。
2階の女子トイレ。昔いじめられた女の子が首をつって自殺した。その子の霊が住んでいて、個室に入って見上げると天井に吊り下がったその子がにやりと笑って
「いっしょに死のう」
って言われる。翌朝、トイレにその子の死体だけがある…。

「お前が先に入れよ」あいつが言う。
先に言われてしまった。
ここで断ったら、僕が臆病者みたいだ。僕はふるえだしそうな足を手で抑えながら、個室に入る。
「奥から二番目だよ」あいつは言う。
僕は、奥から二番目の個室に入り、用をたすようにしゃがんでから思い切って上を見上げる。
暗い天井。それだけだった。

ため息が出る。

僕が出ると、あいつも入る。10秒位してからあいつも出てきた。
「別に何も出ないね」
つまらなさそうに言う。

「3つ目は理科室だ」
昔、理科室で実験中にアルコールランプが倒れて、運悪く一人の男の子が大やけどを負って死んでしまった。
その時の理科の先生が責任を感じて自分もアルコールランプのアルコールを頭からかぶって火をつけた。
以来、夜になると、白衣姿の黒焦げの先生の霊が、男の子に移植する皮膚を探して、男の子の皮をはごうとしてうろついており、見つかると、全身の皮を剥がれて死んでしまう、と。

僕らは理科室を覗いた。別に何もいない。
「今度はお前が先にいけよ」
先を越されないように、僕はあいつに言った。あいつはすっと理科室に入る。
しばらくすると顔を出す。あいつはニッと笑って言った。
「お前怖がってるんじゃないか?」
僕はバカにされる訳にはいかないと理科室に入る。薬品と標本と、何かわからないものの匂いが混ざって
理科室は他とは違う雰囲気だったが、一周しても何も出なかった。

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