
Kalraの怪談
第18章 十八夜目:死人の目
☆☆☆
「俺が初めて立ち会った検視は、轢死体だった」
鉄道自殺だった。
通勤時間真っ只中、都内C線の急行が駅を通り過ぎるタイミングで飛び降りた男性がいた。もちろん、身体は炸裂、血肉が飛び散り、ひどいものだった。
牛皿定食を食べる手が止まりかけているEに対して、俺は懇切丁寧な描写で、当時の状況を伝えた。
かなりEが青い顔をしているが構わず続けた。話はここからだ。
「当時、俺の先輩で、まあ態度の悪いのがいてな・・・。上司と仲が悪くて、本部から署に飛ばされてきたんだが、それが気に入らなかったんだろうな。『こんなカエル(轢死体のこと)、俺の仕事じゃねえ』なんてな・・・。まあ、やさぐれてたんだな。そんなK先輩と、俺と、それからベテランのS係長と、刑事課で主に現場処理にあたったのは3人だった。」
これまでにご遺体に触れたことはあったが、ここまで悲惨な状況のものはなかった。しかも、通勤時のC線だ。運行再開を早くしたいことから、迅速な処理が求められた。地域(交番の警察官のこと)の手助けも借りて、規制線を張り、一般人を遠ざけ、人海戦術で処理をすることになった。
「K先輩は相変わらずブチブチ言いながら遺体処理にあたっていた。俺?俺もお前と同じだったよ。吐き気に耐えながらなんとか仕事をしていたんだ。」
しばらくすると、K先輩が声を上げた。
『おー!こっち!こんなところまでガイシャ(被害者のこと)の頭すっ飛んでるぜ』
その言葉に、俺とSさんが駆けつける。被害者の特定は刑事課にとって最重要事項だからだ。近づいていくと、確かに人間の頭部らしきものが隣の線路に枕木の上に転がっているのが見えた。遠目だが、損傷は少なさそうだ。運良く・・・といっていいかわからないが、車輪に踏まれ、キレイに切断されたのかもしれない。
それじゃあ、早く、被害者の特定を・・・。
Sさん、俺、と続いて、K先輩の方に駆け寄っていった、そのとき、K先輩が信じられないことをした。
コツン、とご遺体の頭部を足で蹴飛ばしたのだ。
「俺が初めて立ち会った検視は、轢死体だった」
鉄道自殺だった。
通勤時間真っ只中、都内C線の急行が駅を通り過ぎるタイミングで飛び降りた男性がいた。もちろん、身体は炸裂、血肉が飛び散り、ひどいものだった。
牛皿定食を食べる手が止まりかけているEに対して、俺は懇切丁寧な描写で、当時の状況を伝えた。
かなりEが青い顔をしているが構わず続けた。話はここからだ。
「当時、俺の先輩で、まあ態度の悪いのがいてな・・・。上司と仲が悪くて、本部から署に飛ばされてきたんだが、それが気に入らなかったんだろうな。『こんなカエル(轢死体のこと)、俺の仕事じゃねえ』なんてな・・・。まあ、やさぐれてたんだな。そんなK先輩と、俺と、それからベテランのS係長と、刑事課で主に現場処理にあたったのは3人だった。」
これまでにご遺体に触れたことはあったが、ここまで悲惨な状況のものはなかった。しかも、通勤時のC線だ。運行再開を早くしたいことから、迅速な処理が求められた。地域(交番の警察官のこと)の手助けも借りて、規制線を張り、一般人を遠ざけ、人海戦術で処理をすることになった。
「K先輩は相変わらずブチブチ言いながら遺体処理にあたっていた。俺?俺もお前と同じだったよ。吐き気に耐えながらなんとか仕事をしていたんだ。」
しばらくすると、K先輩が声を上げた。
『おー!こっち!こんなところまでガイシャ(被害者のこと)の頭すっ飛んでるぜ』
その言葉に、俺とSさんが駆けつける。被害者の特定は刑事課にとって最重要事項だからだ。近づいていくと、確かに人間の頭部らしきものが隣の線路に枕木の上に転がっているのが見えた。遠目だが、損傷は少なさそうだ。運良く・・・といっていいかわからないが、車輪に踏まれ、キレイに切断されたのかもしれない。
それじゃあ、早く、被害者の特定を・・・。
Sさん、俺、と続いて、K先輩の方に駆け寄っていった、そのとき、K先輩が信じられないことをした。
コツン、とご遺体の頭部を足で蹴飛ばしたのだ。
