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Kalraの怪談

第2章 二夜目:七不思議巡り

そんなことを考えている間にプールに着いた。
耳を澄ませるが、バシャバシャという音は…
…聞こえる
微かに水音が聞こえる。風ではない。何かがいる!

「何かいるみたいだ」
あいつは僕の背中を押す。
「おい、やめろよ」
「ここまで来て、見ないわけに行かないだろ」
僕らはプールの壁によじ登り、そっと覗き見た。水音はまだしている。
水音はするけど、何も視えない。
「おい、やばいよ」
僕は言う。
「俺、見てくる」あいつは塀をよじ登ってそのままプールサイドに降りた。
「待てよ!」
僕もその後を追った。夜のプールは墨汁を流したように真っ黒に視えた。
月明かりがキラキラと照らし返されている。
水面が揺れている。
水面の揺れをたどると、ひときわ大きく水が沸き立っているところがある。ちょうど僕らから見て反対側のプールサイドのあたりだ。
「なんだ」
あいつが拍子抜けしたように言う。
「カラスだよ」
僕もよく目を凝らす。確かに、カラスが、プールで水浴びをしていた。それで水音がしたし、黒かったので、闇に紛れて視えなかったのだ。

僕らはプールサイドを一周した。特に何も起こらない。

「いよいよ最後の一つだね」
僕は言う。早く帰りたかった。もう、九時も回っているかもしれない。
晩夏、夏の空気も少し落ち着いて、虫の声が聞こえ始めている。
「最後のひとつってなんだっけ?」
あいつが言う。
あれ?そういえば、最後はなんだっけ?

13階段
トイレの霊
理科室の黒焦げ教師
屋上の自殺者の霊
体育館の鏡の怪
プールの引きずり込むお化け

なんか、この学校の七不思議は「死ぬ」のが多くないか?
よく考えたら全部じゃないか。
たしかにあいつが言うように、これじゃあ誰がおばけの存在を伝えるのかわからないな。
怪談だったとしてもあまりに幼稚じゃないか。

そんなことを考えながら歩いていたら、校門までたどりついてしまった。
「もう、帰るのか?」
僕はあいつに尋ねた。あいつは黙って門の外に出て、
門を閉めた。

「おい!」
僕は門に手をかけ、開けようとする。

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