
Kalraの怪談
第23章 二十三夜目:ついてくる
【ついてくる】
AさんとBさんは、Aさんの地元にある、とある寺に来ていた。
Aさんの地元はH県の郊外で、自然に囲まれた、といえば聞こえはいいが、要は街からだいぶ離れた田舎だった。
その寺は、その田舎の中でもさらに人通りが少ない他の畦道から小高い山に登る途中にあるうらさびれたものだった。山道は木立にかこまれ、昼間でも若干暗い。
Aさんはその寺の境内にある賽銭箱に10円玉を放り込み、何やら熱心にぶつぶつと言っている。
何を言っているのだろうとBさんがそっと耳を澄ませてみると、
「えんきろえんきろ、えんきろえんきろ・・・」
と言っているように聞こえる。
ひとしきりおがみ、寺を後にしたのだが、あまりの熱心さにBさんはAさんに
「何をそんなに熱心に拝んだんだ?」と尋ねた。
Aさんは、「最近しつこい女に関わっちゃってさ」とだけ言った。
もっさりしたオタクっぽさを自認しているBさんと違い、Aさんは着方によってはださくもなる紺のダッフルコートを薄手のセーターと合わせて着こなすことができるような、オシャレな男で、昔から女性にはモテるタイプだった。そんなAさんは、街の大学に通っているのだが、そのサークルで知り合った女性から、ストーカー紛いにつきまとわれているのだという。
同級生ながら、全く女性に縁がないBさんには羨ましい限りであった。
「それと、さっきの寺となんの関係が?」
なおもBさんは聞く。ここからはAさんが語った不思議な話だ。
AさんとBさんは、Aさんの地元にある、とある寺に来ていた。
Aさんの地元はH県の郊外で、自然に囲まれた、といえば聞こえはいいが、要は街からだいぶ離れた田舎だった。
その寺は、その田舎の中でもさらに人通りが少ない他の畦道から小高い山に登る途中にあるうらさびれたものだった。山道は木立にかこまれ、昼間でも若干暗い。
Aさんはその寺の境内にある賽銭箱に10円玉を放り込み、何やら熱心にぶつぶつと言っている。
何を言っているのだろうとBさんがそっと耳を澄ませてみると、
「えんきろえんきろ、えんきろえんきろ・・・」
と言っているように聞こえる。
ひとしきりおがみ、寺を後にしたのだが、あまりの熱心さにBさんはAさんに
「何をそんなに熱心に拝んだんだ?」と尋ねた。
Aさんは、「最近しつこい女に関わっちゃってさ」とだけ言った。
もっさりしたオタクっぽさを自認しているBさんと違い、Aさんは着方によってはださくもなる紺のダッフルコートを薄手のセーターと合わせて着こなすことができるような、オシャレな男で、昔から女性にはモテるタイプだった。そんなAさんは、街の大学に通っているのだが、そのサークルで知り合った女性から、ストーカー紛いにつきまとわれているのだという。
同級生ながら、全く女性に縁がないBさんには羨ましい限りであった。
「それと、さっきの寺となんの関係が?」
なおもBさんは聞く。ここからはAさんが語った不思議な話だ。
