
Kalraの怪談
第24章 二十四夜目:シオミ人形
2回目の夢はF子が小学校6年生のときだった。
それは、やはり人形を飾っていたとき、2月末の頃だった。前と全く同じように、寝付いたか寝付かないかのときに体が動かなくなり、周りがまたざわざわし始めた。そして、また、変な男の人の声が聞こえてきた。
「みまかりそうろう、みまかりそうろう〜」
「おんけのけんれいおうのみまかりそうろう」
「あな、おそろしや、おそろしや」
そして、今度は別の男の人達の声が聞こえてきた。
ーああ、おそろしいことだ、おそろしいことだ
ー本当に、あの亀が東の森で岩の間で苦しんでおることのために、あの人があんな風に引き潰れてしまうんだから
ー気の毒じゃ
ー気の毒じゃ
ーしかし、滅多なことは言うものではない、誰が聞いているともしれぬ
ーああ、亀を岩から出してやれば、命が永らえられると知られては大変だ
ーそうじゃ、そうじゃ
「だから、今度は私、次の日に急いで東の森に行ったの。そして、岩に挟まっている亀を探したわ。でもね・・・」
F子は言葉を濁す。
「でも、見つけたときには遅かった。亀は確かにいたけど、もう動かなくなっていたの」
F子の祖父が工事現場の鉄骨の下敷きになって死んでしまったのは、それから程なくしてだった。
「これで確信したの。あの声は確かにうちの家の誰かが死ぬことを予言しているって。」
不思議な話だったが、F子が嘘をついているとも思えない。確かに、F子の祖母は小学5年生の時に、祖父は中学1年生の時に亡くなっている。
「実は、まだあるの・・・」
3回目はついこの間だった。
3日前の夜、やはり体が動かなくなった。例の男性の声が聞こえてくる。
「みまかりそうろう、みまかりそうろう〜」
「おんけのしんのういんのみまかりそうろう」
「あな、おそろしや、おそろしや」
ざわざわとざわめく声。今度は男性と女性が話しているようだった。
ー気の毒じゃのう、まだ若いおなごじゃと言うに
ーいた仕方ないだろう、これも命によるもの
ーそうはいうても、あのように打ち殺されることもあるまいて
ーああ、そうじゃのう、そうじゃのう
ーほんに、ほんに。しかれども、北の空き家の涸れ井戸に落ちた蛙の呪いとは気づくまいて
ーああ、気づくまいて
それは、やはり人形を飾っていたとき、2月末の頃だった。前と全く同じように、寝付いたか寝付かないかのときに体が動かなくなり、周りがまたざわざわし始めた。そして、また、変な男の人の声が聞こえてきた。
「みまかりそうろう、みまかりそうろう〜」
「おんけのけんれいおうのみまかりそうろう」
「あな、おそろしや、おそろしや」
そして、今度は別の男の人達の声が聞こえてきた。
ーああ、おそろしいことだ、おそろしいことだ
ー本当に、あの亀が東の森で岩の間で苦しんでおることのために、あの人があんな風に引き潰れてしまうんだから
ー気の毒じゃ
ー気の毒じゃ
ーしかし、滅多なことは言うものではない、誰が聞いているともしれぬ
ーああ、亀を岩から出してやれば、命が永らえられると知られては大変だ
ーそうじゃ、そうじゃ
「だから、今度は私、次の日に急いで東の森に行ったの。そして、岩に挟まっている亀を探したわ。でもね・・・」
F子は言葉を濁す。
「でも、見つけたときには遅かった。亀は確かにいたけど、もう動かなくなっていたの」
F子の祖父が工事現場の鉄骨の下敷きになって死んでしまったのは、それから程なくしてだった。
「これで確信したの。あの声は確かにうちの家の誰かが死ぬことを予言しているって。」
不思議な話だったが、F子が嘘をついているとも思えない。確かに、F子の祖母は小学5年生の時に、祖父は中学1年生の時に亡くなっている。
「実は、まだあるの・・・」
3回目はついこの間だった。
3日前の夜、やはり体が動かなくなった。例の男性の声が聞こえてくる。
「みまかりそうろう、みまかりそうろう〜」
「おんけのしんのういんのみまかりそうろう」
「あな、おそろしや、おそろしや」
ざわざわとざわめく声。今度は男性と女性が話しているようだった。
ー気の毒じゃのう、まだ若いおなごじゃと言うに
ーいた仕方ないだろう、これも命によるもの
ーそうはいうても、あのように打ち殺されることもあるまいて
ーああ、そうじゃのう、そうじゃのう
ーほんに、ほんに。しかれども、北の空き家の涸れ井戸に落ちた蛙の呪いとは気づくまいて
ーああ、気づくまいて
