
Kalraの怪談
第25章 二十五夜目:招く海
☆☆☆
腹も満ちて、酒も飲み、軽くひと風呂浴びたあと、俺達はまた部屋で酒盛りを始めた。そのうち、Cが「俺寝るわ」と寝てしまい、Bも酔いつぶれて寝入ってしまった。
俺とAは比較的酒が強く、多分1時位までは飲んでいたと思う。さすがにもういいかということで二人して床につくことにした。
だが、その後、ふと俺だけが目を覚ましてしまった。飲みすぎて小便が近くなっていたんだな。そのせいで起きてしまったようだ。
時計を見ていないからわからないが、3時ごろだったんじゃないかと思う。小用をたし、もう一眠りと思って寝床に向かうところで、何気なく窓から外を見た。満月に近い月の光がキラキラと夜の海に照り返されてきれいだった。
そこで、俺は浜辺で動く影を見つけた。その影は、フラフラとふらつきながら波打ち際に向かい歩いているように見えた。格好は浴衣のままなのだろうか、ひらひらとした服装だった。俺は先程聞いた中居さんの話を思い出してゾッとした。もしかしたら『呼ばれている』のかもしれない。
もし本当だったら、いや、そうじゃなくても自殺をしようとしている人だったら・・・!
俺はいっぺんに酔いが醒めた。手早く着替えると、急いで影を見た場所を目指してエレベーターに飛び乗った。
ホテルの外に飛び出る。晩夏の生ぬるい夜の風が潮の匂いを運んでくる。あたりをざっと見渡すと、左の方、100m位離れたところに人影が見えた。確かに海に向かって歩いている。
助けなきゃ!
俺は走り出した。砂浜に足を取られるので思うように走れないが、月明かりを頼りにその影を追った。影は右に左にフラフラしながら、もう、すでにくるぶしくらいまで海に浸かっているのではないかという感じだった。
そして、俺が波打ち際にたどり着いたときには、その影は、もう肩まで海につかっているところだった。やはりだだことじゃない。
「おーい!待て!待て!」
俺は叫んでいた。叫びながら、自分も海に入っていく。もう人影は首から上しか見えない。
やばい!やばい!!
俺は夢中で水をかき分け、影に近づこうとする。影にはなかなか近づけない。逸る気持ちと進まない足取りにじれったさを感じて必死だった。
腹も満ちて、酒も飲み、軽くひと風呂浴びたあと、俺達はまた部屋で酒盛りを始めた。そのうち、Cが「俺寝るわ」と寝てしまい、Bも酔いつぶれて寝入ってしまった。
俺とAは比較的酒が強く、多分1時位までは飲んでいたと思う。さすがにもういいかということで二人して床につくことにした。
だが、その後、ふと俺だけが目を覚ましてしまった。飲みすぎて小便が近くなっていたんだな。そのせいで起きてしまったようだ。
時計を見ていないからわからないが、3時ごろだったんじゃないかと思う。小用をたし、もう一眠りと思って寝床に向かうところで、何気なく窓から外を見た。満月に近い月の光がキラキラと夜の海に照り返されてきれいだった。
そこで、俺は浜辺で動く影を見つけた。その影は、フラフラとふらつきながら波打ち際に向かい歩いているように見えた。格好は浴衣のままなのだろうか、ひらひらとした服装だった。俺は先程聞いた中居さんの話を思い出してゾッとした。もしかしたら『呼ばれている』のかもしれない。
もし本当だったら、いや、そうじゃなくても自殺をしようとしている人だったら・・・!
俺はいっぺんに酔いが醒めた。手早く着替えると、急いで影を見た場所を目指してエレベーターに飛び乗った。
ホテルの外に飛び出る。晩夏の生ぬるい夜の風が潮の匂いを運んでくる。あたりをざっと見渡すと、左の方、100m位離れたところに人影が見えた。確かに海に向かって歩いている。
助けなきゃ!
俺は走り出した。砂浜に足を取られるので思うように走れないが、月明かりを頼りにその影を追った。影は右に左にフラフラしながら、もう、すでにくるぶしくらいまで海に浸かっているのではないかという感じだった。
そして、俺が波打ち際にたどり着いたときには、その影は、もう肩まで海につかっているところだった。やはりだだことじゃない。
「おーい!待て!待て!」
俺は叫んでいた。叫びながら、自分も海に入っていく。もう人影は首から上しか見えない。
やばい!やばい!!
俺は夢中で水をかき分け、影に近づこうとする。影にはなかなか近づけない。逸る気持ちと進まない足取りにじれったさを感じて必死だった。
