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自殺紳士

第2章 Vol.2:理由のない命

青年は電車に乗る私に手を振りながら、話す。
ほほ笑みを浮かべている。

ああ、そうか。
 青年は罰を受けているのだ。
 それは、なんという悲しい罰だろうか。
 眠ることも、食べることも、人に覚えておいてもらうことも許されず
 ただただ、己が罪のために、人を助けるべく歩き続けるのだ。

そうして、きっと、青年は、そんな思いをさせたくないから、
 誰にもさせたくないから、
 ああやって、歩き続けているのだろう。

電車の中で、私は生まれて初めて真剣に神様に祈った。

どうか、どうか、
 あの優しい青年のことを、
 一秒でも長く、覚えていさせてください。

そして、どうか、
 あの青年の罪が許されるように
 私にしてくれたように
 誰かが、あの青年に優しくしてくれるように

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