テキストサイズ

自殺紳士

第3章 Vol.3:9歳の少年

☆☆☆
家に戻って数日後、
 ぼくは、自分の机の中におかしな絵を見つけた
描いた記憶がない絵だった

 そもそも、ぼくは絵が嫌いで、滅多に描かないのに
それはたしかにぼくの描いた絵のようだった

黒い服の背の高い男性と
 緑色の服を着た男の子とが笑って並んでいた
観覧車の絵やアイスクリームの絵が描いてあった

随分と幼い絵のように思えたけど、
 不思議とぼくはこの絵が好きだった

折れてしまわないよう 大切にしまっている
 絵を見ていると、ふと、ある言葉を思い出す
記憶に無いはずなのに、いやにありありと思い出すのだ

「大丈夫。
  もしも、また道に迷ったり、ひどく困ったりしたら
 絶対に、助けに来るから」

という言葉を

ストーリーメニュー

TOPTOPへ