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自殺紳士

第5章 Vol.5:底辺の人

【底辺の人】

小さい頃、父と母は離婚したらしい
なので、母は一人で僕を育てていた
はっきり言って、生活はひどいものだった

母も定職がなく、時々ふらっと何処かに行ってしまうこともあった
食事が学校の給食だけ、などということはザラだった

(給食費はだいぶ溜め込んでいたらしいが、
とりあえず出してはもらえていたようだ)

他の子が塾や習い事に行っている中、
 僕は一人でいることが多かった
勉強なんて全然わからなかった

中学生になっても、状況はさして変わらなかった
 その頃には自分の食事は自分で準備するようになっていた
 殆どがインスタント食品ばかりで、
 栄養の知識なんてないので、きっと体にはひどく悪かったのだろう

中学を卒業したが、
 お金がないということで高校には入ることができなかった
 誰からも働き方を教えてもらえていなかったが
 働かないと生きていけないことだけはわかった
工場、事務所、ファストフード、清掃、中にはホストクラブや
いかがわしい動画の販売なんてのもあった

だけど、どれも長続きしなかった
  みんな要求はするけれども
何かを教えてはくれなかった

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