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自殺紳士

第9章 Vol.9:死にゆく女性(ひと)

「こんなに・・・なってしまったわ」

「生きて、ください・・・。
 最期まで・・・
 僕は・・・また、来ますから」

青年は言った
それが自分の役割だからだろうか
言わなければいけないことだからだろうか
神様が望むことだからだろうか

「辛いことを言うのね」
女性は俯く

青年は微かに肩を震わせた
壁にかかる時計が、時を刻む音だけが
聴こえていた

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