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自殺紳士
第12章 Vol.12:宵闇を歩く
とうとう俺の生命が
耐えきれなくなった
だから、終わることにした
今日、終わることにした
電車で行けるところまで行った
終着駅で降りて
近くの暗い森に入る
ホウホウとフクロウが鳴き
虫の声が秋を告げる
俺は用意した紐を取り出す
ちょうどよい枝を持った樹に近づき
輪にしたロープを掛けようとした
そうだ・・・
台になるものを探さなければいけない
あの高さは届かない
妙に冷静なのが自分でも可笑しくなる
こういうときには手先が冷たくなったりするものだろうか
緊張して震えるものだろうか
でも、その両方ともなかった
そうだろうな
わかっている
なぜなら、俺はすでに死んでいるからだ
見回しても台になりそうなものはなかったので
久しぶりに木登りをしてみることにした
ところが、樹に登ろうとしてもうまく登れない
年を取って
昔のようにはいかなかった
死ぬことさえうまくできない
その現実に、
バカバカしくて
悲しくて
涙が出た
耐えきれなくなった
だから、終わることにした
今日、終わることにした
電車で行けるところまで行った
終着駅で降りて
近くの暗い森に入る
ホウホウとフクロウが鳴き
虫の声が秋を告げる
俺は用意した紐を取り出す
ちょうどよい枝を持った樹に近づき
輪にしたロープを掛けようとした
そうだ・・・
台になるものを探さなければいけない
あの高さは届かない
妙に冷静なのが自分でも可笑しくなる
こういうときには手先が冷たくなったりするものだろうか
緊張して震えるものだろうか
でも、その両方ともなかった
そうだろうな
わかっている
なぜなら、俺はすでに死んでいるからだ
見回しても台になりそうなものはなかったので
久しぶりに木登りをしてみることにした
ところが、樹に登ろうとしてもうまく登れない
年を取って
昔のようにはいかなかった
死ぬことさえうまくできない
その現実に、
バカバカしくて
悲しくて
涙が出た
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