
Injured Heart
第9章 研究室にて
【Kind doctor】
夕暮れの研究室に入ると
白衣のままで当麻(とうま)が机に突っ伏していた
いつもの光景だ
「Drを探していましたよ」
高村は声をかける
ここからは当麻の傷は見えないが
きっと今回も派手にやられたに違いない
「先生?」
高村が声をかけるが、当麻は動かない
高村は近づいていき、当麻の頭を軽くはたいた
「みんなが探していますよ」
わずかに当麻の肩が動く
うつぶせていた顔を少し上げ、窓を見る
ちょうど高村の立っている位置と反対にある窓
顔は見えない
窓の外は朱があふれるような
鮮やかな夕焼けだった
窓の影がきっと当麻の顔に落ちているだろう
「ほっておいてくれ」
やっと当麻が声を上げた
その声を聴いて高村は少し安心した
慣れたものとはいえ、
声を聴くまではやはり不安だったようだ
「ほっておきませんよ」
高村が言う
「そうか」
当麻も一言だけ言う
無言の時間が流れる
夕暮れが青藍を帯び
ゆっくり夜になる
高村は きっと今
胸にあるだろう 当麻の傷を思って
そこにいた
かつて 当麻が高村に
そうしてくれたように
夕暮れの研究室に入ると
白衣のままで当麻(とうま)が机に突っ伏していた
いつもの光景だ
「Drを探していましたよ」
高村は声をかける
ここからは当麻の傷は見えないが
きっと今回も派手にやられたに違いない
「先生?」
高村が声をかけるが、当麻は動かない
高村は近づいていき、当麻の頭を軽くはたいた
「みんなが探していますよ」
わずかに当麻の肩が動く
うつぶせていた顔を少し上げ、窓を見る
ちょうど高村の立っている位置と反対にある窓
顔は見えない
窓の外は朱があふれるような
鮮やかな夕焼けだった
窓の影がきっと当麻の顔に落ちているだろう
「ほっておいてくれ」
やっと当麻が声を上げた
その声を聴いて高村は少し安心した
慣れたものとはいえ、
声を聴くまではやはり不安だったようだ
「ほっておきませんよ」
高村が言う
「そうか」
当麻も一言だけ言う
無言の時間が流れる
夕暮れが青藍を帯び
ゆっくり夜になる
高村は きっと今
胸にあるだろう 当麻の傷を思って
そこにいた
かつて 当麻が高村に
そうしてくれたように
