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HEAVEN~時を超えて~

第5章 真相を知らば

ガチャ…

追ってバスルームを出た僕の目に
ガウンを羽織ってリビングのソファでおとなしく座る真が目に入る


ぎゅ…


無言でその手を取り2階に上がる




『っ…』


真の体をベットに投げ出す


おっと、いけない
手荒く突き飛ばすような真似をしてしまった

平常心でいなければならないのにね





『あたし…逃げようとしたんじゃないの』



真は震えを隠しながら、力なくも言葉を発した



『うん。知っているよ』


全部聴いていたからね
と言うより、その行動で


『本当よ?
あなたの言ったことを・・・自分で、確かめたかった…』



『・・・』


あぁ、、ある時のたったの一言が
彼女のような純情な子には猛毒になってしまうんだな

口は災いの元とはよく言ったもの

失態だらけじゃないか僕は




『信じて…くれないよね。わかってる。それでもいい』




彼女は動揺を隠しきれていない顔でありながら
どこか受け入れるように身を投げ出そうとしていた



『マコト…』



彼女はいつものように…
後ろ手に両手を回して背を向けた




『約束破ったり…悪い事したら、罰があるんでしょ?』





今にも零れ落ちそうな涙をこらえて

眉尻…目尻…全てが下がっても尚

ニコリと…諦めたような微笑みを浮かべて

こちらをみる彼女に…僕は

これ以上鬼にはなれなかった





『・・・・そんなものは必要ないよ』



僕は真のそれを止めるように仰向けに彼女の体を戻す




あの男が働いた愚行は元より

彼女の尊厳を傷付けたこと

なにより…汚い手で彼女を弄んだ事が許せないだけだ



彼女は…真は

貴様ごときが触れて良い人ではない



気高く…尊い魂をもった命だ



触れるな…下郎。






『マコト・・・・・裸になって』





『…っ』


ピクッ…



彼女はまた誤解してしまうだろう

体を震わせて縮まる仕草が隠せない



これは、彼女に対する罰なんかじゃない



僕が己の中に燻る汚らわしさや憤りに耐えられなかった
それだけの、、稚拙で傲慢な感情に過ぎなかった



僕は…押し戻せない怒りを放出する

彼女が誤解していても構わない




『マコト・・・キスしようか』




汚らわしい…

その穢れを取り払ってしまいたい

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