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HEAVEN~時を超えて~

第5章 真相を知らば

『… … っ』


真は数秒躊躇って
それでももう、抗う事はしないと言う意思を見せるように
着たばかりのガウンをそっと脱いで僕に身を晒した



『マコト?・・・恐いことはしないよ』



『っ…』



矛盾していた言葉であろう

おそらく、と言うか間違いなく
これは〃制裁〃だと思っている彼女にとっては



けれど、いつものように
頬を膨らませて文句を言ったり
何ひとつ言葉を返さない彼女の姿は

正直、寂しかった



『マコトの嫌がる事を…したいんじゃないんだ』




ただ真の自由を奪うことは簡単だ


恐怖を与え、脅かして…従わせれば良いんだ


孤独にさせて、思考回路を鈍らせて

屈辱を味わわせたり

時には痛みを与えて、主従関係を染み付かせ

支配し、洗脳すればいいんだ




だけど、彼女の心が壊されたら

どんな強さも…なにも…役には立たない





『・・・っ…怒って…ぃないの?』



真は震えた小さな声で僕に問う





『クス…マコトに怒る事なんかひとつもないよ』




真をゆっくりとベットに寝かせて
頬を撫でて見つめる




キュ…

その瞳はどこか諦めや疲れで遠くを見ていても
本能や条件反射のように彼女は体を微かに縮めた



可哀想な真

疑うことも無く…真っ直ぐに相手を信じて

その後、どんな制裁があっても、と…文字通り

〃決死の覚悟〃で必死に走って行っただろうに

こんな、あまりな仕打ちを受けるだなんてね




『マコト・・・』



『・・・ん…っ』



彼女の体が緩み、閉じた目を開けたタイミングで
僕は…真のふっくらした唇に、そっと口づけた


・・・


・・・・




『んん…ん…ムゥ・・・』




少し…大分長い口づけを交わして

真は離れた唇で小刻みに呼吸をする




『ふふ・・・マコト…ちゃんとキス出来たね。偉いよ』



『な…に…それ・・・』


頭を撫でられて少し頬を染めては
やっと言葉を発する姿に微かに安堵する


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