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HEAVEN~時を超えて~

第5章 真相を知らば

少し身軽な服に着替えた真の手を引いて中庭に出る


『水を汲みに行こうかマコト』


真はどこか言い出しにくそうだったから
敢えて僕はそう提案した


『ぅ・・うん』


少し気まずそうに真は返事をする

勿論、真の様子にイコール安心をしているわけではないから、僕は絶えず彼女の手をはなさずに歩いたけれど
真は僕が思ったよりもずっと落ち着き払って見えたんだ


水を汲んで戻って
中庭に小さな花壇を作って種を撒いた。


『ふふ・・・せっかく綺麗な天然の水が近くにあるから
きっとこの方が花も喜んで咲いてくれるかな?』


真はいつになく可愛らしく微笑んだ




『このまま散歩に行こうか?』


土だらけになった手を洗いながら
真はキョトンとして顔を上げると
やわらかに微笑んで頷いた。


適度に陽を避けながら森林を散歩する


本当は僕自身が彼女に対して

❝すまなかった❞だとか❝ごめん❞だとかって

溢れそうな言葉を必死に誤魔化して

押し込めていたように思う。


彼女の落ち着きは、笑顔は

本心なのか、強がりなのか

読み取れずにいたけれど

だからこそ、僕から話を振る事はせずにいた




『あたし・・・ずっとひとりぼっちで生きて来た』



『・・・』


僕は彼女の手を握り直して
その澄んだ声に耳を傾ける

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