
HEAVEN~時を超えて~
第5章 真相を知らば
サラサラ…
優しく流れる小川の水をゆっくりと汲み上げて
真はそっと空を見上げた
『マコト…戻るよ』
『ん・・・』
僕は水が入って重くなったバケツを
彼女に変わって手に持って
その手を引いて戻ろうとしていた
スルッ…
『…っ』
真の小さな手は一瞬にして僕をすり抜け
森林の奥に向かって走り出す
『…っ・・・・マコト』
その先は…数少ない危険
崖がある
『マコト…っ・・止まって』
『っ・・・』
ダメだ
そんなことだけは・・・許さない
ぎゅ…っ
『いや…っ…』
崖に飛び込むように走った真の手を掴み
共に転倒しながら傾斜を転げて
足元が崩れ落ちる寸前、なんとか留まることができた
『ハァ、ハァ、ハァ…は・・なして…っ・・』
『・・・。ダメだよマコト』
『もういやだよ…っ・・・これ以上わけわかんないのいやだよ…っ』
『マコト・・・落ち着くんだ…』
『いや…ぁ…っ』
真はこれまでにない程の力で暴れて逃れようとした
それこそ、末期の力のように
『マコト…っ』
草木と土にまみれる地面で僕はひたすらに真を抑えつけた
『マコト・・・』
『っ・・・うっ…』
真の目からはついに大粒の涙がこぼれていた
だから…あの男の事は
早く忘れるように、と言ったんだ
けれどそれは
真相(なに)も知らない彼女には
到底無理難題な話だ
理由も知らせずに言われた所で
聞き分ける者などいない
そして、その真相を知らせることは
彼女の人生、尊厳、人格…精神さえも
破壊してしまいかねない
あまりに残酷なその現実だったんだ
だから、どんな手を使っても
どんなに彼女を泣かせても
恨まれようとも
彼女の思考を鈍らせ
洗脳に等しい仕打ちをしてでも
絶対に見せてはならない真相
彼女の尊厳とその心を護って
断ち切りたかったんだ
だけど結果は
『マコト・・・・・すまない』
僕は土にまみれたまま彼女を抱きしめた
優しく流れる小川の水をゆっくりと汲み上げて
真はそっと空を見上げた
『マコト…戻るよ』
『ん・・・』
僕は水が入って重くなったバケツを
彼女に変わって手に持って
その手を引いて戻ろうとしていた
スルッ…
『…っ』
真の小さな手は一瞬にして僕をすり抜け
森林の奥に向かって走り出す
『…っ・・・・マコト』
その先は…数少ない危険
崖がある
『マコト…っ・・止まって』
『っ・・・』
ダメだ
そんなことだけは・・・許さない
ぎゅ…っ
『いや…っ…』
崖に飛び込むように走った真の手を掴み
共に転倒しながら傾斜を転げて
足元が崩れ落ちる寸前、なんとか留まることができた
『ハァ、ハァ、ハァ…は・・なして…っ・・』
『・・・。ダメだよマコト』
『もういやだよ…っ・・・これ以上わけわかんないのいやだよ…っ』
『マコト・・・落ち着くんだ…』
『いや…ぁ…っ』
真はこれまでにない程の力で暴れて逃れようとした
それこそ、末期の力のように
『マコト…っ』
草木と土にまみれる地面で僕はひたすらに真を抑えつけた
『マコト・・・』
『っ・・・うっ…』
真の目からはついに大粒の涙がこぼれていた
だから…あの男の事は
早く忘れるように、と言ったんだ
けれどそれは
真相(なに)も知らない彼女には
到底無理難題な話だ
理由も知らせずに言われた所で
聞き分ける者などいない
そして、その真相を知らせることは
彼女の人生、尊厳、人格…精神さえも
破壊してしまいかねない
あまりに残酷なその現実だったんだ
だから、どんな手を使っても
どんなに彼女を泣かせても
恨まれようとも
彼女の思考を鈍らせ
洗脳に等しい仕打ちをしてでも
絶対に見せてはならない真相
彼女の尊厳とその心を護って
断ち切りたかったんだ
だけど結果は
『マコト・・・・・すまない』
僕は土にまみれたまま彼女を抱きしめた
