
サム・チェイシング・アフター 18頁完結
第1章 シグナル
こうして2年後
ミゲルはハイスクールを卒業してラクエラを追いかけるように軍に入隊したのだ
だが、運命は彼らを祝福しなかった
ミゲルが入隊して半年
入れ替わるように数名の兵士が他の基地へ転属となり、そのなかにあのサムというパイロットも含まれていた
基地で見かけることはあってもサムはミゲルを無視していたのでまったく接点は無かったのだが、正直いってほっとした
ここの基地を旅立つ彼らのためにちょっとした宴会なようなものが開かれ最後の交流をかわしていた
ミゲルはラクエラの姿を探していたのだが残業でもしているのか、どこにも見かけなかった
宴もお開きになり、皆が解散していくなかミゲルは話したことも無い先輩士官に声を掛けられた
「整備室の荷物を宴の後で戻したいんだが、男手が必要なんだ、すぐ終わるから手伝ってくれないか?」
そう言われて入ったこともない整備室に入った途端、何人もの男から殴りつけられた
両脇の男たちに動きを制されて、正面の見知らぬ男からリンチを受けたのだ
それが何故なのか?
彼らは自分と何の関係があるのか?
なにもわからず、抵抗も出来ないまま彼は殴られ続けた
ようやく男たちは部屋から出ていき、ミゲルは解放されたかのように思えたが
部屋の奥のカーテンがシャッ!と開けられると
そこには3人の男がラクエラをレイプしている光景だった
ラクエラは口にタオルを詰め込まれ腕や脚をロープで引っ張られ固定されていた
3人はサムとその仲間だった
ラクエラは何も言わず、ただ涙を流していた
男たちはニヤニヤしながらも、誰も何も言わなかった
すでに暴行を受けていたミゲルは立ち上がろうとしても膝が立たない
這いつくばろうにも腕に力が入らない
しかし
ラクエラの姿を見ると胸が締め付けられ、
怒りと哀しみに押しつぶされそうになる
脳が爆発しそうだった
ブチン!と頭の中で引きちぎれたような大きな音が聞こえた気がする
痛みで立ち上がれなかったはずのミゲルはゆっくり立ち上がり
すぐ近くの整備室の机から巨大なレンチを手に取ると、
思いっきり目の前の男の眉間に突き刺してやった
それが人を殺めた最初だった
