リーニエント
第2章 チューベローズ
「ゲーセン?」
「そう、ここにね面白い場所が有るんだよ」
古い外観からは想像し難い広さのゲームセンターだった。
香を含めた三人はドラッグストアでの再会から、そのまま遊ぶ事になった。
ゲームセンターまでの道程を歩く中、お互いの紹介をしあう。
同じ大学に通っているらしい、啓輔と隼人。
全く違うタイプの二人だったが、仲の良さそうな感じは見ているだけで伝わる。
初めの頃は身構えていた香も、彼らのやり取りに気を許していった。
スマホを弄っていた啓輔は、カプセルトイなどが並ぶ入り口付近を抜け奥の方へと二人を先導する。
壁際のレトロなゲーム台がひっそりと置かれた片隅から、更に奥へと続く入り口が有った。
「わ…すごい」
啓輔に続き、入り口を入った扉の先。
そこは先刻の暗い様相とは違った明るく広い部屋になっていた。
「予約制の撮影スタジオ。いいでしょ?たまたま空いててラッキーだったよ」
啓輔がスマホで予約を取っていたらしい。
まるで隠れ家のような場所に香は密かに高揚していた。
「なあこれ、良くね?」
隼人が指したのはソファが置かれたプリ機のような撮影ブースだった。
「おい啓輔、詰めろ」
「あ、じゃあ香ちゃんここおいで」
「う、えっ…わっ」
ち、近いです。近いっ!
焦る香を強引に引き寄せ、膝の上へと促した啓輔。
基本カップル向けらしいソファに三人。
男二人の真ん中には小柄な香が収まった異様な光景。
タブレット型操作パネルを扱い、いざ撮影と言うところまで全て終えた啓輔。
「なれてますね、啓輔さん」
「うん、実は好きなんだよね」
「でも、こいつが好きなのエ口いやつだから」
「っっ!!」
香の顔が赤くなる様子を見て、楽しそうに笑った隼人。
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