創造の双子。
第2章 弟(仮)
「いっやぁ~! すごかったねぇ! わかゆい♪ 彼氏…ん~弟に欲しいなぁっ…!! 」
「もぅっ…恵美歌ったら…
慧は私の弟だよっ?」
「うん♪ そぉーかぁ~西華の弟…………え? 弟? あんなかわいぃのがぁ?!?」
「紛れもなく私の弟ですよんw」
「ええぇえーーっ!!!!!」
噂はあっと言う間に広まった。
「ねー今度家いってもいい?」「友達になろーよー♪」
「西華ってよんでイイ?」
噂の弟の姉でこのありさま。
取り巻きは後を絶えない。
(あ~ちょっとイイ気分♪
慧の教室、放課後行ってみょっかな?)
放課後になって、慧の教室を見てみると…!!
「!!!」
クラスの子だけでないだろう…
すごい数の女の子で熱気がすごい…!! 慧も囲まれていてどこにいるか分からない。
クラスの先生も注意しているが、歓声にけき消されよく聞こえない。
「先生ぇ、私達慧と仲良く話してるだけなんで。 注意する意味性なくないですかぁ?」
そういわれ、先生は大人しくなってオロオロしているだけだ。
(うっわぁ~怖っ…)
それでも勇気を振り出して、言ってみる。
「あのさぁ? ちょっと邪魔なんだけど… 」
一瞬シンとなるが、みんな練習でもしたかのように 一斉に寄ってきた。
「わぁ~っ! 慧くんのおねぇさん? 綺麗~!」
「今、慧くんとしゃべってたんです!」
「慧くんって、どんな食べ物が好きなんですかっ?」
それからずっと質問責めだった。
下校時間が過ぎると、警備員さんが女の子を帰してくれた。
「さ、君たちも帰りなさい」
「……はい…。 …なら…」
もう、西華はくたくただった。
当たりを見回して、慧を探してみる。
たぶん女の子たちに連れて行かれたのだろう。 慧はいなかった。