蜜会…春の揺れ
第1章 春の揺れ
2
「○○病院まで…」
わたしはホテルを出て、タクシーに乗る。
朔の月の下…
桜の花びらが、風に流されていた。
ブブ…
すると夫から、再びLINEが着き…
『とりあえず落ち着いたから、帰宅する』
「あ、運転手さん、変更………へ向かって…」
行き先を変え、閑静な住宅街の自宅へと向かう。
バタン…
宵闇に、タクシーのドアの閉まる音が、やけに響いて聞こえた。
そして、玄関を開け…
「……ただいま………」
静かにリビングに入る。
「……………」
「あ、あの、す、すいませ…ん……でした……」
リビングに座り、帰宅したわたしをチラと一瞥してくる夫に…
そう小さく、謝りの言葉を告げる。
「……遅かったな………」
夫は…
間もなく真上を指すリビングの時計に目を向け、そう、言った。
「あ…、あの…久々だったんで……盛り上がっちゃって……
で、電話に、気付かなかった…の………」
「……そうか………」
「はい……」
「………………」
「あ、あの、お、お義母様は……」
「うん……軽い心筋梗塞らしい………」
「えっ、し、心筋梗塞…」
「幸い発見が早かったから、大事にはならなかったみたいだ…」
「あ…」
「ただ、1ヶ月は入院らしい……」
「い、1ヶ月……」
「…………」
夫は、眼鏡の元を押さえ、冷たく感じる目を向けてくる…
「そうだったな…
久しぶりの同窓会だもんな………」
「あ、いや、はい……ご、ごめんなさい…」
「いや、間が…悪かっただけさ………」
眼鏡の奥で一度だけ瞬きをし、そのまま視線を外さなかった…
その目は冷たく、声音は落ち着いてた。
確かに………間が悪かった。
それも…
「……………」
あ…
そして、その刺すような視線が、左指に向いた気がして…
「そう…間が悪かった……だけさ…………」
その声音からは、全てを見透かされたみたいで、一瞬、息が詰まり…
無意識に…
左手を握り閉め、後ろへと隠してしまう。
「○○病院まで…」
わたしはホテルを出て、タクシーに乗る。
朔の月の下…
桜の花びらが、風に流されていた。
ブブ…
すると夫から、再びLINEが着き…
『とりあえず落ち着いたから、帰宅する』
「あ、運転手さん、変更………へ向かって…」
行き先を変え、閑静な住宅街の自宅へと向かう。
バタン…
宵闇に、タクシーのドアの閉まる音が、やけに響いて聞こえた。
そして、玄関を開け…
「……ただいま………」
静かにリビングに入る。
「……………」
「あ、あの、す、すいませ…ん……でした……」
リビングに座り、帰宅したわたしをチラと一瞥してくる夫に…
そう小さく、謝りの言葉を告げる。
「……遅かったな………」
夫は…
間もなく真上を指すリビングの時計に目を向け、そう、言った。
「あ…、あの…久々だったんで……盛り上がっちゃって……
で、電話に、気付かなかった…の………」
「……そうか………」
「はい……」
「………………」
「あ、あの、お、お義母様は……」
「うん……軽い心筋梗塞らしい………」
「えっ、し、心筋梗塞…」
「幸い発見が早かったから、大事にはならなかったみたいだ…」
「あ…」
「ただ、1ヶ月は入院らしい……」
「い、1ヶ月……」
「…………」
夫は、眼鏡の元を押さえ、冷たく感じる目を向けてくる…
「そうだったな…
久しぶりの同窓会だもんな………」
「あ、いや、はい……ご、ごめんなさい…」
「いや、間が…悪かっただけさ………」
眼鏡の奥で一度だけ瞬きをし、そのまま視線を外さなかった…
その目は冷たく、声音は落ち着いてた。
確かに………間が悪かった。
それも…
「……………」
あ…
そして、その刺すような視線が、左指に向いた気がして…
「そう…間が悪かった……だけさ…………」
その声音からは、全てを見透かされたみたいで、一瞬、息が詰まり…
無意識に…
左手を握り閉め、後ろへと隠してしまう。
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