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中毒の処方箋 〜淫らな輪舞曲〜

第10章 飽食の時。瑠花(3)

「瑞希って、本当に誰にでも物怖じしませんよね……」

ある日の残業中、二人きりになった薬局の調剤室で、瑠花がぽつりと呟いたことがあった。その瞳には、親友への親愛の情と、それ以上に「同じ年の女」に対する、静かで激しい嫉妬の炎が揺らめいていた。

一方の瑞希もまた、瑠花のその視線に気づいていないはずがなかった。

瑞希の「竹を割ったような性格」は、一見するとサバサバしているように見えるが、その実、人間の心の機微や、特に「男と女のパワーバランス」に対して、異常なまでに鼻が利く鋭さを持っていた。

彼女は、瑠花が私に向ける視線の熱さにすぐ気づき、そして、私が瑠花を見る目の違いをも、正確に察知していた。

「先生って、瑠花のこと、特別扱いしてますよね?」

ある日、調剤室のバックヤードで棚の整理を瑞希としている最中、彼女は私にだけ聞こえる声でそう囁いた。その瞳は、いつもの業務中のサバサバした輝きではなく、怖いほど貪欲な女の歪んだ色を帯びていた。

彼女たちが急接近し、親友となったのは、決して偶然だけではない。 瑠花は私を独占したいがために、瑞希という存在を近くに置いて監視したかった。そして瑞希は、瑠花という「先生に愛されている女」を通じて、私の領域へと土足で、しかし完璧な計算のもとに踏み込みたかったのだ。

職場の忘年会という公の場を迎える前から、私たちの間には、この××店の調剤室という狭い空間の中で、すでに濃密で逃げ場のない愛憎の網が、じわじわと張り巡らされていたのである。



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