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中毒の処方箋 〜淫らな輪舞曲〜

第10章 飽食の時。瑠花(3)

「彼女は職場でもよくやってくれているよ。……もちろん、ここでの顔が特別なのは否定しないけどね」

私の言葉に、瑠花が救われたような表情を浮かべ、嬉しそうに私の袖をきゅっと引いた。その従順な仕草は、私への絶対的な依存を意味している。

だが、それを見た瑞希の瞳の奥に、小さな、しかし激しい火花が散るのが見えた。瑞希の唇が歪な弧を描く。

「ふーん……。先生、瑠花のことばっかり。私の『特別な顔』は、まだ見たことないからそんな余裕ぶってられるんですよ?」

瑞希がゆっくりと立ち上がり、私たちの座るソファへと一歩、また一歩と近づいてくる。彼女が動くたび、部屋の空気の密度が目に見えて増していくようだった。彼女の歩調に合わせて、部屋の緊張感がぐっと跳ね上がる。

親密な空気の中に、お互いの存在を激しく求め合い、同時に激しく牽制し合うような、濃厚な大人の駆け引きが満ちていく。 瑞希は私のすぐ隣に滑り込むように腰掛け、体温が直接伝わるほどの距離で、私の耳元にそっと唇を寄せた。

「ねえ、二人とも。今夜は長いんだから……もっとお互いのこと、深く知り合おうよ」

湿った吐息が鼓膜を揺らす。瑠花が隣で小さく息を呑む音が聞こえた。それは拒絶ではなく、これから始まる未知の領域への恐怖と、それを上回る甘美な期待の入り混じった吐息だった。

3人の距離が完全にゼロになる一歩手前、部屋のピンクと紫の間接照明が、それぞれの胸の奥に渦巻く複雑な感情を、妖しく、そして残酷なまでに美しく照らし出していた。

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