
中毒の処方箋 〜淫らな輪舞曲〜
第11章 飽食の時。亜美(1)
ある日のこと、亜美がはにかむようにして僕に声をかけてきた 。
「今日、一緒にあそこのホテルに行ってもらえませんか?」
あまりに突然の、そして予想だにしない言葉に、僕は次の言葉を紡ぐことすらできず、ただ戸惑うばかりだった 。
「えっ……どうしたんだい?」
「あの……最近、お昼がすごく眠くて。でも、ここじゃ熟睡できないでしょう? それなら、ホテルにでも行って三時間くらい泥のように眠りたいんです。でも、一人は寂しいから、先生に付いてきてほしくて。本当に……寝るだけにしてほしいんですけど……やっぱり無理ですか?」
「いや、別にいいけれど。亜美ちゃんは自宅が遠いから、休憩の間に帰ることもできないしね。ここには寝れる場所もないしな。よし、行こう。ホテル代は僕が出すよ」
「いいえ、それは駄目です。私が無理に誘っているんですから、私が払います」
「分かったよ、じゃあ今日だけね。昼間に事務さんがちゃんと眠れるよう、通販で簡易ベッドでも買っておくべきだったかな。さあ、行こうか」
職場から歩いて十分ほどの距離にあるラブホテル 。誰かに見られる宛てなどないにも関わらず、僕たちは示し合わせたように時間差をつけ、まず彼女が、次いで僕がその扉を潜った 。
「どうせ寝るだけだから」
その言葉が、私の頭の片隅でずっと小さな棘のように引っかかっていた 。
僕たちは空いている部屋の中から、最もつつましい一部屋を選んだ 。階段を上がると、選んだ部屋のドアの上でランプが寂しげに点滅している 。
部屋に入るやいなや、亜美は吸い寄せられるようにベッドへダイブした 。枕に深く顔を埋めたまま、彼女はぴくりとも動かなくなる 。
「本当に眠かったんだな」
僕はソファーに深く腰掛け、彼女の無防備な背中を見つめていた 。
備え付けの棚からドリップコーヒーを取り出し、二つのカップに静かに注ぐ 。湯気を立てるコーヒーをテーブルに並べ、それを一口すすると、僕もまたソファーに横たわり、静かに瞼を閉じた 。
(ラブホテルにやってきて、何もせずに帰るなんて初めてのことだ。だが、亜美ちゃんに手を出すわけにはいかない。もし無理に求めてしまえば、セクハラで訴えられて会社をクビになるかもしれないから……)
「ねえ、先生」 ふいに、甘い声が静寂を破った 。
「今日、一緒にあそこのホテルに行ってもらえませんか?」
あまりに突然の、そして予想だにしない言葉に、僕は次の言葉を紡ぐことすらできず、ただ戸惑うばかりだった 。
「えっ……どうしたんだい?」
「あの……最近、お昼がすごく眠くて。でも、ここじゃ熟睡できないでしょう? それなら、ホテルにでも行って三時間くらい泥のように眠りたいんです。でも、一人は寂しいから、先生に付いてきてほしくて。本当に……寝るだけにしてほしいんですけど……やっぱり無理ですか?」
「いや、別にいいけれど。亜美ちゃんは自宅が遠いから、休憩の間に帰ることもできないしね。ここには寝れる場所もないしな。よし、行こう。ホテル代は僕が出すよ」
「いいえ、それは駄目です。私が無理に誘っているんですから、私が払います」
「分かったよ、じゃあ今日だけね。昼間に事務さんがちゃんと眠れるよう、通販で簡易ベッドでも買っておくべきだったかな。さあ、行こうか」
職場から歩いて十分ほどの距離にあるラブホテル 。誰かに見られる宛てなどないにも関わらず、僕たちは示し合わせたように時間差をつけ、まず彼女が、次いで僕がその扉を潜った 。
「どうせ寝るだけだから」
その言葉が、私の頭の片隅でずっと小さな棘のように引っかかっていた 。
僕たちは空いている部屋の中から、最もつつましい一部屋を選んだ 。階段を上がると、選んだ部屋のドアの上でランプが寂しげに点滅している 。
部屋に入るやいなや、亜美は吸い寄せられるようにベッドへダイブした 。枕に深く顔を埋めたまま、彼女はぴくりとも動かなくなる 。
「本当に眠かったんだな」
僕はソファーに深く腰掛け、彼女の無防備な背中を見つめていた 。
備え付けの棚からドリップコーヒーを取り出し、二つのカップに静かに注ぐ 。湯気を立てるコーヒーをテーブルに並べ、それを一口すすると、僕もまたソファーに横たわり、静かに瞼を閉じた 。
(ラブホテルにやってきて、何もせずに帰るなんて初めてのことだ。だが、亜美ちゃんに手を出すわけにはいかない。もし無理に求めてしまえば、セクハラで訴えられて会社をクビになるかもしれないから……)
「ねえ、先生」 ふいに、甘い声が静寂を破った 。

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